『グリム童話オマージュ短編小説コンテスト』入選御礼 SS

夜分にこんばんは。
こうです。
12月ももう半ば、毎日寒い日が続きますが、お風邪など召されていませんか?
温かくしてお過ごし下さいね。

この度『グリム童話オマージュ短編小説コンテスト』において、こちらでの初作品『君と甘い鳥籠で』を入選作に選んでいただきました。個人的に色々悩みを抱えながら書いた作品だったので、たくさんの方に読んでいただけでなく、コンテストで評価していただけてとても嬉しいです。
読んで下さった皆様、投票して下さった皆様、そして運営の皆様、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

そのお礼、と言うのもあれですが……

本編とは違い、ハンスとグレーテの甘々なSSを書きました。楽しんで下さると幸いです。

 


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 昼過ぎから降り出した雪は森の近くに佇む小さな家を静寂の中に包み込む。暖かい家の中ではそれを見越したハンスが早々に仕事を終え、いつもより早く帰って来ていた。
 暖炉近くのロッキングチェアーに深く腰掛け、ホットワインを口に含む。もう、明日からはしばらく森に入れそうにない。ならば今日は夜更かしでもしようかとゆったり身体をくつろがせて。

    グレーテを鎖で繋いだ日から時は流れ、もうふた月が過ぎようとしていた。

『……たし、も……ぁいして、る……』

 あの日聞いた消えそうに小さなグレーテからの告白。まさか、と耳を疑って。でも確かに響いたその声に心は歓喜に震え、泣き叫んでしまいそうだった。想いは完全なる自分の一方通行で、同じ様に返して貰えるとも繋がれるとも思っていなかった。今、思い出しても胸の奥が熱くなる。

 不意に聞こえて来たシャラシャラ響く鎖の音とパタパタ弾む軽い足音。寝室から戻って来たグレーテが一度キッチンへ寄ってからリビングへと入って来た。
「懐炉、ベッドに入れて来たわ」
 手にしたハンスお手製木のカップに暖炉にかけたケトルからお湯を注ぎ、グレーテがゆっくりとハンスを振り返る。柔らかな笑顔のその足首に鈍く光る黒々とした足枷と細い鎖。ハンスは外そうとしたものの、グレーテが『着けたままにして欲しい』と願ったため、そのまま彼女をベッドに繋ぎ続けていた。
 何か物言いたげなグレーテの眼差しにハンスがニッコリ笑って両手を広げる。
「おいで、グレーテル。ベッドが温まるまで一緒に飲もう」
「うん!」
 声を掛けた直後、笑顔で飛びついて来る可愛いグレーテ。反動で後ろに傾いだチェアーに背中を預け、ハンスはグレーテの身体を難なく抱きとめた。
「危ないよ」
 ユラリと戻ったロッキングチェアー。ハンスはグレーテの手からカップを取り上げるとサイドテーブルへ置き、細い腰に手を添えた。
 フフッと笑ったグレーテが目蓋を閉ざす。チュッと触れ合ったのは柔らかな唇。自分から飛びついて来たくせに、グレーテは恥ずかしがってすぐに身体を起こそうとする。もちろんそれをハンスが許す筈もなく。
「だぁめ」
 僅かな動きでグレーテを止めると華奢な彼女を腕だけで抱え上げた。
「きゃっ」
「ほら、足、開いて」
「やっ、兄さ……んっ」
 自分の身体を跨がせ、左右の足をそれぞれのひじ掛けに掛けさせて。
    シャランと鳴った細い鎖。グイっと腰を抱き寄せれば布越しに互いの熱が擦れ合う。ビクっと跳ねた腰を押え付け、ハンスはめくれた裾から右手を足の付け根へと滑らせた。
「やっ、だめっ」
    逃れようと身じろぐ彼女に構うことなく最奥へ。
「はっ……やーらしいね、グレーテ」
「んんっ」
 ピチャピチャと響かせられた淫らな音にグレーテはハンスの首に両腕を回して頭を振った。音が立つほど蜜を溢れさせハンスの帰りを待っていたなんて。本人に知られて恥ずかしい事この上ない。
「僕、まだ何もしてないけど?」
「い、わないで……」
 ギュウっと抱き付かれてハンスの口角が上がる。
「こんなになるほど、僕を待ってくれてたの?」
 耳介を啄む様にして話すハンスにグレーテはフルフルとその身を震わせ、小さくコクリと頷いた。
「だって……今日早く帰って来てくれるって……」
 確かに、朝家を出る前にそう言ってグレーテに深いキスをした。それは天候を危ぶんでの事だったのだが。
「可愛い……」
 愛おしそうに落とされた甘い囁きにグレーテの中がキュウンと疼く。
「っはぁ……」
 思わず漏れた熱い吐息。ハンスはそんなグレーテにクスリと笑うとトロリとした愛蜜を指先で掬い、始まりにある小さな花芯にクルクルと擦り付けた。
「あっ、んんっ」
 魔女に躾けられたグレーテの身体はそんな些細な刺激でも蕩けるほど心地好く感じてしまう。たおやかな腰は見た目に反し、更なる刺激を求めて淫らに揺れてハンスを甘い快楽へと誘う。
「……グレーテル」
 ハンスが愛しい幼い呼び名を口にした。
 ここでこのまま衣服をはぎ取り、めちゃくちゃに抱き壊してしまいたい。暖炉の炎に照らされたグレーテの裸身はさぞかし美しい事だろう。
 そうは願えど、暖炉の熱が届かない場所はどうしても肌寒い。グレーテの身体を思うとここで無茶をさせられない。
「ベッド、行こうか?」
 ハンスの優しい問いかけに、グレーテが左右に首を振る。
「や、待てな、い……」
 もどかしそうに擦り付けられる、しとどに濡れて滑る花弁。柔く熱い秘裂を直にその手に感じてハンスの奥で欲が蠢く。
「グレーテ……」
 少しかすれた低めのテノール。その響きに小さく震えたグレーテがハンスにのし掛かる様に身体を預けた。チェアーがユラリと後ろへ揺れる。
「ハン、スゥ」
 いつになく甘えてくるグレーテにハンスは堪える事が出来なくて。ひじ掛けからグレーテの両膝を掬い上げると前へ戻るチェアーの揺れに合わせて立ち上がった。
「きゃあっ!」
 驚いたグレーテがハンスの首に縋りつく。

「そう、そのまましっかり捕まってて」
 耳元で柔く囁き、ハンスがグレーテを抱いたまま大股で歩き出す。シャラシャラと鎖の音を引き連れ、真っ直ぐ自分の寝室へ。
 グレーテの入れてくれた懐炉の熱でベッドの中は温められてきてはいたが、素肌をさらすにはまだ冷たい。ハンスはベッドにグレーテを寝かせると自分だけ服を脱ぎ捨て、布団を背に彼女に覆いかぶさった。
 すぐにグレーテの腕が首に絡み付いてくる。

 引き寄せ合って重なる唇。啄むようなキスを繰り返し、つんと頂をそらした丸みを大きな手で揉みしだく。
「ん……ふっ……」
 零れ落ちるグレーテの吐息に甘く心を溶かされて、キスの合間にハンスが囁く。
「愛してる。……僕の、グレーテ」
「ん、嬉し、ぃ……」
 縋りついてくる小さな身体。触れ合う肌が心地よくて、ただグレーテが愛しくてたまらない。明日の仕事は雪かきだけと都合よく決めて、ハンスは白く滑らかな肌に唇を寄せた。

 雪は家を包むように静かに静かに降り注ぐ。白銀の世界に閉ざされて、長い冬の夜はまだ始まったばかり。

 

 

 

 

2017年12月17日