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第2話

 さて、ところかわって、おばあさんの家。  あかがね色のオオカミが、しくしくとおばあさんのベッドで泣いています。  優しいおばあさんはオオカミを可愛がってくれました。毛色の違うあかがね色のオオカミは森の他のオオカミによく苛められていました。ある日、木の陰で隠れて泣いているオオカミをおばあさんが見つけて、あかがね色のオオカミの傷の手当てをしてくれたことがありました。それ以来、オオカミはおばあさんに懐き、何度もおばあさんの住む森の家へ遊びに行くようになったのです。  ですが、ほんの二日ほど前に訪れたとき、もうおばあさんはこの世の人ではありませんでした。  人喰いオオカミに食べられてしまったのです。  怒りに我を失ったあかがね色のオオカミは、狂ったように森を駆け回り人喰いオオカミを探しだし、そしておばあさんの敵をうちました。  一縷の望みをかけてオオカミの腹を掻っ捌き、おばあさんを助け出そうとしたあかがね色のオオカミですが、腹の中のおばあさんはもう事切れておりました。手遅れだったのです。  哀しくて哀しくて、オオカミはおばあさんのベッドで泣きました。  人喰いオオカミは森の王様だったので、あかがね色のオオカミにはもう帰る場所もありませんでした。王殺しは森の大罪なのです。 「おばあさん」  あかがね色のオオカミは、大好きだったおばあさんの匂いのする枕へとめどなく涙を零したため、おばあさんの枕はぐっしょりと濡れてしまいました。  夜の帳がすっかり下りた頃。  とんとんと家のドアがノックされました。  あかがね色のオオカミは大層びっくりしました。この家に誰かが訪ねてくるのに出くわしたのは初めてだったのです。いったい誰だろうとオオカミはベッドの中で身を固くしました。 「赤ずきんが来たよ」  赤ずきんという呼称には覚えがありました。  以前おばあさんが話してくれたことがあったのです。  とても綺麗な孫がいて、その子のことを皆は赤ずきんと呼んでいるとおばあさんは言っていました。でもおばあさんはこうも言っていました。 「あの子はねぇ、外見は綺麗だけど、中身は性悪だからねぇ。ここにもあまり来るなと言ってあるんだよ」  あの優しかったおばあさんに『性悪』と言わしめる赤ずきんが訪ねてきたことに、あかがね色のオオカミは恐れ慄きました。  ですが、逃げようにも出口は一つだけです。  どうしようどうしようとオオカミが慌てふためいている間に、赤ずきんは勝手に家に入ってきてしまいました。
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