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第1話

「昨日見たー?記憶のカケラ達!寮様、ちょ〜かっこよかったよね!」 「見た見た!あの低音ボイスで愛してるとか言われたら、ホント堪んないよーぅ」 「大人の魅力っていうの?ムンムンだよね!ヤバイよ〜」 花の金曜日。 仕事終わりに入社が同期で同じ商品企画課に努める仲のいい同僚に飲みに誘われた私。 しかしみんなは世間を賑わす芸能人、寮様とやらの話ばかりで、 私はため息をつきながらお通しのたこわさびをちびちび箸でつまんでいた。 「ちょっと、聞いてんの!?綾!」 三人の視線が突然に降りかかってきて、 私は惚けた表情で、ん?と三人を見つめ返した。 「ん?じゃないわよ!ドラマ見てないの!?」 「ドラマ…興味ないし」 「じゃ寮様がMC務めてる音楽番組MUSIC.STATIONsは!?」 「音楽…興味ないし」 「じゃじゃ寮様がナレーターしてるドキュメンタリー番組、ガイヤの朝焼けは!?」 「そもそも…テレビ見ないし」 三人の半分キレ気味の質問にしれっと返しながら三度たこわさびを摘む…。 「っていうか、その…寮様って誰なのよ」 あまりにも三人との会話についていけない私は、 苦笑いしながらずっと疑問に感じていた事を投げかけてみる。 それを聞いた三人が突然息を合わせたように目線を合わせ、バッグやらテーブルやらに置いていた携帯を掴みその待受を私へとドーンと見せつけてきたのだ。 「なっ、え?」 「この容姿が目に入らぬか!櫻木寮様の眩しいぐらい整ったお姿を!」 三人に強い目力と興奮に若干引き気味の私は、 目の前に差し出された待受画像を見て、 初めて櫻木寮という人間を知る事となる。 まさかこの先私の人生に欠かす事が出来ないぐらいの大きな存在になるなんて、 この時は想像すら出来なかった。
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