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時間は過ぎ時は夕方。 会社は定時になり、オフィスにいる人間もキリのいいことろで仕事を切り上げ、 個々に退社を始めていた。 「部長」 仕事の段取りが要約終わった私は退社する前に、 どうしても礼を言いたくて、まだデスクで仕事中の部長に声を掛けた。 「どうした服部」 「あの・・・、色々と気を使ってもらって有難う御座いました」 その言葉にパソコンを打っていた指を一端止めて、 不思議そうに私の方へ見上げる部長。 それ以上言葉を使わなくってもなんの事を言っているのか、 相手には伝わっているはず・・・。 「気なんか使ってないよ。あれは誰がどう見ても可笑しいからあぁ言っただけだから」 確かにいきなり私に特定に人間に対してあんな事を言うのは、 可笑しい思うのはと当然だ。 私を助けてくれた後、櫻木と部長はそのまま食堂へ向かって行った。 が、二人が居なくなった後、 源に一部始終を見ていた女性社員に櫻木との関係をしつこく聞かれた。 勿論無関係を押し通したが、どう考えても知り合いにしか見えないと変に勘繰られたからだ。 しかし私はそんなことよりも、部長が窮地を救ってくれた感動の方が強かった。 好きな人が自分を助けてくれる程、幸せな事無い。 サラッと何気なしに救ってくれるその優しさが本当に嬉しかったから。 「まぁ・・・、部下を助けるのは上司の役目でもあるしな」 部長は少し考えた後、そう告げると私に優しくフッと笑った。 そして再びパソコン画面に目を移しキーボードを叩き始める。 「定時過ぎてるからお前も早く帰るんだぞー」 「・・・はい、お先に失礼します」 ―――なんだ。この感じ。 心の中にぽっかり穴が空いた様な感覚。 部長の言葉を聞いた瞬間なんとも言えない感情になって、 ただ挨拶だけしその場を去った私は、そのまま会社を退社したのだった。
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