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キャァ!とオフィスに女性の声が響き渡る。 その矛先に目をやれば、 室内の入口にゾロゾロと関係者を引き連れてやってきた櫻木涼が現れたのだ。 「どうも、お邪魔します。櫻木涼です」 深々とお辞儀をしたあとオフィスに足を踏み入れる姿に、 再び歓喜の雄叫びが上がる。 「礼儀正しいんだな、彼は」 その一連の姿が意外だったのか部長が思わず驚く。 櫻木は次々に押し寄せる女性達に握手したり手を振り返したりなど、 笑顔で対応している。 確かにあの姿だけ見れば何も知らない私も、好印象を持つだろう。 親友達や世間が本人を絶賛する気持ちもわかるかもしれない。 ”貧乳馬鹿女” 未だに思い出すだけで苛々する言葉。 あの笑顔の裏に隠された闇の部分をマスコミにぶちまけてやりたい。 しかもあんな男に唇を奪われた事は、 私にとってはもっとも消し去りたい過去の一つだ。 室内を一通り歩いた櫻木は、部長に気づき私達の方へやって来た。 「はじめまして櫻木涼です。お仕事中に失礼しました」 「部長の棚橋です。お忙しい中来ていただいて有難う御座います」 互いに頭を下げた後、堅い握手を交わす。 イケメン部長と櫻木のコラボ姿に女性達はついため息を漏らしてしまう程見とれていた。 しかし私は櫻木に引けを取らない部長の笑顔はどんなにもてはやされた芸能人よりも眩しく、 素敵に見える。 ーー部長、やっぱりかっこいい。 そう再確認してしまうほど心熱くなっていた。 「いかがですか、社内を回ってみて」 「ええ。普段から現場でメイクなどすることが多いので、それに携わる方々と深いお話等出来て、とても興味深かったです」 ニッコリと笑いながら部長と話す櫻木。 以前会った時と比べ、仕事の時の格好は様になっている。 まぁあの時は上半身裸姿だったから、比べ様もないか。
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