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着替えが終わり既に部屋には櫻木はおらず、 私もそのまま部屋を後にする事に。 ドアを開け部屋を出ればそこはモデルルームのようなスッキリとした広いリビングがあった。 窓際には薄型の巨大なテレビとその反対側には大きな黒いソファーが向かい合うように置かれ、 家具や照明も雑誌に出てくるようなおしゃれな物だ。 しかし生活感が全く感じない部屋は、 何故か哀愁漂う雰囲気すら感じた。 「お邪魔しました」 ソファーに座る櫻木の背を見ながらぶっきらぼうに告げ、 フローリングの冷たい感触を素足に感じながら足早に玄関へと向かった。 どういう状況で何故ここに来たのかはわからないけど、もう櫻木と会う事なんて無いだろう。 芸能人と一般民なんて接点無いし生きてる世界も違う。 私達が櫻木を目にする事はあっても、櫻木が私を目にする機会なんてまずあり得ないのだから。 「…」 ヒールを履き終え立ち上がったままふいに後ろに振り返る。 だが櫻木の姿は無くリビングから流れてくるテレビの音だけがうっすら聞こえてきて、 少しだけ拍子抜けしたような気分だ。 ーーって何期待してんの、私! はい、終わり終わり! さっさと会社行かなくちゃ!! 見送りに…、なんて甘い考えした自分自身に無理矢理カツを入れ、 そのまま家を後にした。
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