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それから数日後、新しい商品について会社の会議室でチームと話し合っていた。 私の会社は大手の化粧品メーカー。 ターゲット年齢層は二十代から四十代と幅広く、今迄にも大ヒット商品を作り出してきた。 漸くこの部に配属されて早一年。 今迄営業、販売…など色んな部に配属され、念願の部署に来たのに、 中々結果を出せるような商品を作り出せる事が出来ずにいた。 世の中の流行や消費者のニーズを必死に食らいつきながら商品を考えるるも、毎回企画書止まり。 元々ど田舎育ちで就職を機に美容や自分磨きに目覚めた私。 デパートの売り子さんに初めて化粧をしてもらったあの喜びと驚き、感激に、 化粧品メーカーに勤めてる決意をして、 いつか私も女性が嬉しくなるような化粧品を作ってみんなに喜んで欲しい!と意気込んだものの、現実は厳しく。 今年で二十五歳。 恋愛や結婚に背を向けながら仕事にひたすら情熱を注いできたのだから、 もうそろそろ結果を出したいのに。 「じゃもう少し立案に詰めて持ってきて。以上」 「!?」 最近徹夜しながら企画を考えていたせいか、ぼんやりと聞いていた所為で会議はあっという間に終了。 ガタガタと椅子から立ち上がるチームのみんなから一歩遅れ、慌てて立ち上がった。 「服部」 誰もいなくなったその時チームのリーダーである、棚橋部長から声をかけられた。 私より一回り年上で、今迄数々の大ヒット商品を世に生み出してきた部が誇るアイデアマン。 見た目もあっさりしょうゆ顔でカッコ良く、部署では人気の男性だ。 そして、私の想い人でもある。 「企画まとまったか?」 「いえ…、上手くいかなくて」 私はまだ未完成の企画書を部長に見せた。 う〜ん…と顎髭が生える顎に手を当てながら唸るように声を出して目を通す。 「服部が考えるコンセプトはいつもピカイチなんだけど、次の一手が弱いんだよな。例えば…」 部署は私のすぐ隣に立ち肩を寄せ合ったまま、企画書を指差し指示をする。 ほんのりと香る香水の匂いと独特の低い低音ボイスが私の嗅覚と聴覚を刺激し、 つい胸の鼓動が大きく鼓動してしまう。 「わかったか?」 「は、はい!ありがとうございました!」 私の顔を覗き込むように呟く部長に、 頬が赤い私は表情が見えない様に俯いたまま軽くお辞儀をし会議室から慌てて出て行った。 会議室の扉に寄りかかりながら中々収まらない鼓動を落ち着かせるように、深く息を吐く。 「部長、優しいなぁ」 さっきまで重たかった目が一気に冷めて、 頭と気持ちが一瞬で晴れてきた気がする。 「よしっ!部長に褒めてもらえるまで頑張るぞっ!」 フンッと鼻息を荒くして気合を入れた私は、 軽い足取りで自分の部署へ戻った。
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