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第9話オルネッタ結婚!

 壮絶な戦いは夜明け前に終わった。  人類の勝利だった。   一騎当千のギャロウグラスが、タイグロイド公爵率いる人類の軍勢を勝利へ導いたのだった。  魔物はほとんどが死に、生き残った個体もいずこかへ逃げ去った。  戦場に曙光が差しはじめたとき、生き残った兵士たちがかちどきをあげる。    オルネッタは石の寝台より救出され、素肌を外套に包んでタイグロイド公爵に支えられていた。  期待に目を見開いて、それを見守る。  ギャロウグラスが行う、最後の仕事を。  魔物の王だったエリオネルは、数十本あった腕のすべてを切り落とされ、ただの肉壁と化していた。  コンセリアートルの長い鎖でぐるぐる巻きにされ、地面に縫いつけられている。  その神聖な武器の力が、エリオネルを完全に封じていた。  ギャロウグラスは肉の壁に埋まっているエリオネルのうつろな顔へ両手をかけて言った。「これだけの肉量が残っていれば……」  エリオネルの顔をはさみ、ぐっと引っ張り出そうとする。  コンセリアートル全体が輝いた。  ずるり、とエリオネルの頭が出てくる。 「いいぞ、これならいける!」  コンセリアートルの輝きにあわせて、ギャロウグラスはゆっくりとエリオネルの身体を引きだしていった。  数分後、荒い息をつくギャロウグラスの足元に、五体満足なエリオネルの身体が横たわっていた。  赤黒い粘液にまみれているものの、欠けたところはない。  ギャロウグラスは額を拭いながら言った。 「しばらくすれば目を覚ますでしょう」 「お兄さまっ!」  オルネッタが駆け寄って跪く。  エリオネルの肌に触れると、そこには人の体温があった。  オルネッタは安心して嗚咽を漏らし、人目を憚らずにしゃくりあげた。  タイグロイド公爵はギャロウグラスの肩に手をおいて労う。 「バーテイタスどの。我が一族に連なるもので、ひとりの男にこれほどまでの恩義を感じているものは、わし以外にはおるまい」  ギャロウグラス改めバーテイタスは、疲れ果てた顔で薄く微笑んだ。 「確かに、お世話のかかるご兄妹でしたよ」    蛮族の脅威は退き、闇の生き物の影は消えた。  フォルダム公タイグロイドの軍勢は勝利に沸き立ち、意気揚々と城下へ凱旋した。  賑やかな戦勝祭があったかと思うと、さらに慶事は続いた。  フォルダム公タイグロイドの娘オルネッタと、ルグヴィン第三王子バーテイタスの結婚式である。  バーテイタスがオルネッタのもとへ婿入りする形となり、領民はことさら喜んだ。   純白のウェディングドレスに身を包んだオルネッタはこの上もなく美しく輝き、のちのちまで民衆の語り草となった。 歓喜の声とともに別れの涙もあった。  誇りを取り戻したエリオネルは、バーテイタスの申し出を受け、コンセリアートルの新たな所持者となった。  オルネッタの花嫁姿を目に焼きつけたその午後には、新たな《調停者》となるため、本来の生まれ故郷であるルグヴィンへ向けて旅立った。  祝いごと続きで華やかな喧騒に包まれる城下町。  その賑やかさから離れた城の一室で、問題の新婚初夜が訪れていた。  新しくあつらえられた豪奢な寝室のなか、昼に式を挙げたばかりの新婚夫婦が最初の営みに入ろうとしていた。  新婦オルネッタと、新郎ギャロウグラス改めバーテイタスは、ベッドの上でお互いをみつめあっていた。  いまや夫と妻として堂々と安心して褥をともにできる。  その喜びはもちろん大きかったが、オルネッタには不安も募っていた。  ギャロウグラス改めバーテイタスの底知れぬ変態性癖のせいだった。  ともに一糸まとわぬ姿になってベッドの上に並びながらも、オルネッタはバーテイタスをにらみつけていた。 「普通に。普通に初夜を過ごすのですよ、バーテイタス」 「むろん、我が妻オルネッタ。しかし『普通』というものの認識に相違がないとも限らない。話してみて欲しい。『普通』とはまずどうするべきか」  オルネッタは赤面しながら答えた。 「まず、くちづけから始めるのです……」 「ほう、なるほど。ではまだ男を知らぬオルネッタの頭のなかの段取りでは、次に男はどこを責めるべきか、ご教授願いたい」 「もうっ! それが普通じゃないんですっ! どうしてあなたはそうものごとを……」  バーテイタスは微笑んで謝罪した。 「もうしわけない。わたしもいろいろ染みついてるものでね。でもわかった。まずはくちづけからだ」  バーテイタスはオルネッタに身を寄せ、その後頭部を押さえて唇を重ねた。  お互い挙式以来まだ二回目の、そして初めての濃厚なくちづけが交わされる。  バーテイタスの舌がオルネッタの唇を割り、オルネッタも本能の従って舌を絡ませる。  バーテイタスは唇を離すとオルネッタの耳をかみ、首筋をなめ、肩に接吻した。  そのあいだも両手でオルネッタの身体を撫であげる。  オルネッタの吐息は次第に熱くなっていった。  バーテイタスは童貞といっても、女を愛撫することには手馴れていた。  オルネッタもいまや妻なのだからと、知っている範囲で積極的に動く。  ひとしきり身体を撫であったあと、ふたりの身体は熱く湿ってすっかり準備が整った。  バーテイタスはオルネッタが開いた足のあいだに移動すると、そそり立つ己の分身を見おろして言った。 「素晴らしいことだ、オルネッタ! いまからあなたのなかへ入ろうというのに、わたしの分身は硬いままだ! いままでとは違う、わたしはコンセリアートルから解放された!   この分身で淫らに蒸れた匂いを放つあなたのなかへ……」  また悪い癖が出始めていると思い、オルネッタは声をあげた。 「バーテイタス!」  ついで大きなため息をつく。 「はぁー……、あなたをまともにするのは本当に骨が折れそうです……」 「そうだろうか。わたしはじきにお互いあるがままを受入れられるようになると思っている。しかし、今夜のところはもう口を開かないほうがよさそうだ」  バーテイタスはオルネッタに覆いかぶさると、ゆっくり腰をつきだした。  バーテイタスの熱い分身が、オルネッタのぬかるんだ秘所へ入っていく。 「あ、あぁ……っ!」  ふたりは同時に声をあげた。  オルネッタもバーテイタスも、お互いの身体を通じて、いままで未知の感触を味わった。  挿入はゆっくりと続き、とうとうバータイタスが完全にオルネッタのなかへ入った。  ふたりはしばらく荒い息をついて見つめあう。  自然に唇が重なると、バーテイタスは動きはじめた。  ぎこちなかった動きも、すぐにこなれたものになり、バーテイタスは優しくオルネッタのなかをこすりあげた。  オルネッタはいままで刺激を受けたことのない場所からの快楽に戸惑いながらも、身体が熱く蕩けていくような感覚を味わっていた。 「あっあっあっあっ、あはぁー」  我知らず女の声を漏らしてしまう。  しばらく規則的な動きが続き、ふたりはお互いの身体から生まれる快楽を貪りあった。  その均衡が破られる。 「あぁ、オルネッタ!」  バーテイタスが小刻みに腰を早めたかと思うと、呻いて動きを止める。  オルネッタのなかに、温かいものが広がった。  バーテイタスが初めて女のなかに放った精だった。  バーテイタスは荒い息をついて、オルネッタの上に重なる。  オルネッタはその体重を受け止めながら、手を回して筋肉の隆起したバーテイタスの背中を撫でる。  喜びに包まれながら、オルネッタは吐息のようにつぶやいた。 「あなたの初めて、確かに受けとめました……」  目を閉じたまま喘ぎ、バーテイタスが答える。 「愛している、オルネッタ。いつまでも大切にしよう。少々嗜好抑えることなど容易いこと……」 「フフフ、とりあえず信じておきましょうか、愛しいバーテイタス。大変な旅になりましたけど、あなたと出会えたことがまごうことなき天恵。あぁ、バーテイタス……」 「オルネッタ……」  ふたりはお互いを慈しむように抱きあい、さらに唇を重ねた。    夜は長い。  そして、この幸福にむせるような夜が明けたとしても、ふたりには輝ける陽光が待っている。  これから始まる、愛と喜びの日々が。  完
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