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第32話 攻守逆転

  「僕はいやらしい男です。こんな素敵な女性が傍にいて、あなたみたいに平然となんて出来ません」  熱に浮かされたような声が、わたしの首筋から聞こえて、首から身体に熱が走る。 「わかりますか、僕の。……真白」  攻守逆転とばかり囁く彼は、腰をゆっくりと動かして、彼の分身の全貌を知らしめるように、わたしの腰になすりつけていく。 「あなたを女として意識すると、こうなってしまって……痛いほどなんです」  大きくて硬くて、熱いそれに……、身体が蕩けてしまう。  息が出来ない。 「だから、添い寝で終わらせたかったのに……」  吏玖がわたしの肩に埋めた顔を捻ったようで、わたしの耳に彼の息が掠めて、思わず声を漏らす。別にキスされたわけではないのに、いや、されていないからこそ、ねだるかのように甘ったるい声で、彼を誘ってしまう。  ……彼の身体に包まれたい。  どこも離れた距離などないように。  それは欲情にも似た心の渇望。  身体が熱くてたまらない。 「真白……、いい匂いがする」  彼の呼吸だけが、汗ばむ肌を滑る。  真向かいになりたいのに、吏玖はそれを許さず、時折くんくんと動物のように鼻を鳴らしながら、わたしの匂いを嗅いで、声を漏らす。 「いい匂いで……いやらしい匂いだ」  それを合図に、吏玖の手がTシャツの下に潜り込む。 「僕のシャツを着て、僕の脳髄を刺激して……それでも、添い寝で我慢しようとしたのに。どうして淫らでいけないひとなんだ、あなたは」  肌を彷徨う手は上に上がってきて、下着にかかる。 「ん?」  下着を外していないのに、彼の手の熱を直接乳房で感じて、はっとする。 「やっ、下着……っ」  わたし、オープンブラだ。  胸の周りと、胸の突起だけを隠すような申し訳程度の小さな布がリボンで取り外し出来るという、へんてこブラジャーだった。  吏玖はTシャツを捲って、その赤いレースの扇情的な下着を見ると、動きを止めた。 「どうして、あなたは……」 「違うの、違うんです! これは深山さんが……」 「……本当に。そうやって誘惑するように、誰に教わったんですか、あなたは」  胸を撫でてゆっくりと揉み始める吏玖の手の動きに、自然と呼吸が乱れてしまう。 「感じやすいんですね、真白は」  そんな言葉を囁きながら、吏玖の舌が耳の穴に忍んで蹂躙する。  たっぷりの吏玖の唾液が耳の中に響き、ぞわぞわとしたものを感じたわたしが仰け反るようにすると、吏玖が胸のリボンを外して、胸の真ん中にある小さな布きれを外す。 「やぁぁぁ……」  ぴんと勃ちあがった胸の突起が見えてしまう。  それが卑猥でたまらず、泣きそうになるが、吏玖の指先がその突起を、親指と中指の腹で強く捏ね、人差し指で引っ掻くようにして揺らしてくる。 「あっ、あっ……」  自然と肩から顔を出している吏玖の頬と頬を摺り合わせるようにして仰け反って喘ぎながら、足の間に割った彼の足が、わたしの熱く疼いていた部分に振動を与えるように、小刻みに動き出すのを感じて腰を揺らす。    もどかしい。  首筋を舐められ、耳を舌と唇でなぶられながら、強く揉み込まれた胸が形を変えるのを見せられ、身を捩れば赤く腫れ上がった先端を強く押し潰される。 「ひゃああっ、やっ、んんっ、ああっ、そこばかり、やあああ」 「そこって? じゃあ真白はどこに触られたいの?」 「んん、言え、ないっ」 「言えない悪い子には、ずっとこのままだ。でも、凄く気持ちよさそうだよ」  意地悪な言葉を放つ甘い声に、ぞくぞくして身震いしてしまう。    だけど気持ちいいのに、燻った火は激しく燃え盛らない。  それはわたしの表情を見ながら、吏玖の攻めの手が緩急つけて焦らしているからだということに気づくことなく、気づけば吏玖に誘導されるがまま横臥の姿勢から起き上がり、両足をはしたなく広げてここが切ないのだと身振りで訴えながら、背後の吏玖に凭れるようにして胸にある吏玖の手に、わたしの手を重ねて喘いでいる。
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