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第7話

 イシリスは瞬間を見ていた。  頭上はるか真上、城のテラスからその矢は放たれてきた。  イシリスは睨み上げた。  『監視者』か。  再び地を見下ろすと、そこには首の無い人間の屍が一つ、転がっていた。  イシリスは、闇に染まった回廊へ、猛然と走り出していた。  城の中は入り組み、至る所に人間のものらしい屍が無残に残されていた。  薪がじりじりと燃え尽きようとしている様をイシリスは見た。  その脇に続く階段。  湯気の立つ鮮血が流れていた。  イシリスは眉を寄せ一段目を蹴った。  螺旋の階段を足早に駆け上ると、月光の微かに届くテラスへと出た。 「ぎゃっ」  一声、叫びと同時に噴き上がる紅い飛沫。  どさりと倒れたのは人の形をしたものだ。  イシリスは足を止め、目を凝らした。倒れたのは、やられたのは人か?魔か?  月光の所為で、見極められない。  やったのは……。 「イシリスだな」  低い、男の声である。
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