23 / 26

第3夜 囁きよりもあまく、にがい(2)

「月の主さま、一緒にお花を摘みましょう」  リフェンスは、聖女とジュードの時間を作るために、教会の庭で寝転んでいた。  声のした方を見れば、近頃人間から身元を引き受けたという少年がにこにこと笑いリフェンスを見おろしていた。 「おまえ、確か」 「ルイです。月の主さま」 「おれは、リフェンスだ」 「そうですか、月の主さま」  名乗った割には話があまり噛み合っていないような気もしたが、子どもなら仕方がない。  起き上がるまでもなく相変わらず寝転んでいると、傍に座り込み、ルイは花を摘み始めた。 「俺はあまりその呼び名が好きじゃない」 「はぁ、美しい名だと、僕は思いますが…」  夢中で、ルイは花を摘んでいる。 「お前も、ガキだからと半人前とは呼ばれたくないだろう」 「はい、早く一人前になって、聖女さまのお役に立ちたいです」 「そうか…はやく大きくなれ、半人前」 「はい」  にっこりと笑った少年は、あ、と一言溢し、急に髪を整え始める。 「?」 「聖女さま!」 「ルイ。リフェンスも」  ルイは現れた聖女に抱きついた。  にっこりと微笑んだ聖女は、リフェンスに向く。 「ジュードは、帰ったのか」 「ええ」  そう答える聖女の顔は、穏やかだった。 「チ…忙しい奴…。誰かに盗られてもしらねえぞ」 「?なにか、言いましたか?リフェンス」 「いいや。何も」  舌打つ必要があるのか、リフェンスは自分に疑問を抱いた。 「お茶にしましょう。…まあ、綺麗なお花。ルイ、ありがとう」  金がかった茶の髪を撫で、聖女はルイの頬に唇をそっと寄せた。 「聖女さまの方が綺麗です」  恥ずかしそうに、ルイは言った。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!