18 / 26

第2夜 キスよりあまい(2)

「可憐ー、ふふふっ」  昼休み。  振り返ると、美菜と里沙は悪戯な笑みを浮かべ、可憐を見ていた。 「え、なに、なに?」  牛乳を飲み干し、可憐は首を傾げた。 「ハッピバースデー、可憐っ」  美菜と、里沙の隠した背後から取り出したのは、ミニブーケだった。  白いミニバラが可愛い。 「わ…、ありがと…!」 「可憐をイメージしたんだよねー」  美菜と里沙は、お互いを見合わせ、うん、と頷いた。 「あと、これも食べて。じゃーん!」  どこで買ってきたのか、箱の中にはケーキが三つ入っていた。 「準備よすぎだよ…!二人とも…」  可憐が感激して涙を拭うのを、美菜と里沙はその頭を抱えて笑った。 「だって、最近可憐てば元気なかったし、ね?」  里沙が、美菜の言葉に頷く。 「色もますます白くなっちゃって、この子は」  「そ、そうかな…?」  可憐は手を伸ばして見た。  よく、わからない。 「さ、ケーキ食べよ!」 「うん」  可憐は、ブーケの白いミニバラを見た。  かすみ草の中で、眩しく咲いていた。  可憐は、学校から教会へと戻った。 「え?家に?」  香島が、花束を花瓶に活けながら、振り向いた。 「…え、と。パパとママと、ネットで話を…」  一年に数回機会は設けられ、その一度が、今日である。 「そうですか…。じゃあ、僕も一緒に行きます」 「香島さんも?」  驚く可憐に、香島は笑顔で頷く。 「お邪魔はしません。お話が終わるまで、傍で黙ってます」 「……」 「嫌ですか?」 「え、いえ。お願いします」 「じゃあ、早速行きましょうか」 「はい」  可憐は、ひとり帰ることを不安に思っていた。  あの闇の中に、帰ることを。  虚月が、いない、闇に。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!