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第2夜 キスよりあまい(1)

 可憐は、窓から月を見上げていた。  少し欠けた月が浮かんでいる。  教会の隣。香島に助け出され、目覚めた部屋で、可憐は月を見ていた。  もうすぐ、誕生日が来る。 「虚月様…」  もう一つの名前を思い出しても、可憐の中では虚月で、自分はその使い魔だった。  去年の誕生日は、やはり一人だった。  十五歳の誕生日の時のように、両親に祝いのメッセージを貰って、一人でケーキを食べた。  虚月はやはり夜中に帰宅し、眠っていた可憐の前に現れた。 「虚月様…?」  横になった可憐の目の前に手を着き、虚月は可憐を見下ろしていた。  目の前に垂れたその銀の一束を指で触れながら、可憐は眠気眼で口を開いた。 「おかえりなさい、虚月様。…あのね、私、今日で…」 「使い魔として何が目覚めた?小娘」  虚月は、いつもの様に冷たく押し殺した声で囁いた。  可憐は、目を見開く。  何も。  何の能力も、目覚めなかった。 「ごめんなさい…何も。何も目覚めなかった…虚月様」  涙が溢れそうになるのを堪えて、可憐は小さく謝罪を零す。  小娘が。  可憐が謝り、黙り込むと、虚月はその口を唇で塞いだ。 「ん…っ」  虚月のしなやかで長い指が、寝間着の上から可憐の小さな胸を柔らかく包み、撫でる。  可憐は、身体の奥が熱くなった。  挿し込まれた舌が、可憐を翻弄する。  引き抜かれそうになり、可憐は追って舌を絡ませた。 「ぁ…う…」  虚月の黒い影が可憐に覆い被ると、ベッドが、軋みを上げた。  虚月の吐息が、可憐の耳元で揺れた。その牙が、可憐の耳朶を甘く噛む。 「や…、痛く、しないで…」 「黙れ、小娘」  反射的に身を強張らせた可憐にの裸の肩に、虚月は口付けた。そのまま、鎖骨へ降り、乳房を吸い上げる。   「ぁ…ぁっ」  下肢では、忍び込んだ虚月の指が、可憐の愛芽を転がし、濡れた襞へと入り込んだ。 「ぁっ、虚月さ、ま…っ、わた、し…っ」  虚月の指が挿し込まれる都度、可憐の声は上がっていく。 「も…、ぅ…っ」  限界の声を上げる可憐の胎内に、虚月は雄を突き刺した。 「ぁっ、ひゃ、ぁあ…っ!」 「…っ、そんなに締め上げて、コレが良いのか?」  可憐をベッドに押し付け、虚月は何度も突き上げる。  甘く、鋭い責めに、可憐の意識は薄く、遠くなった。 「虚月…さ、まっ…」  シーツを握る可憐の小さな手を、虚月の牙が噛む。 「……っ!」  ビクビクと、可憐の足が痙攣を繰り返す。  その小さな足を捕まえ、虚月は指を口に含んだ。    可憐。  ………。  ふと、可憐の耳の傍で声がした。 「…っ?」  虚月を見れば、眉を顰め、紅い瞳が可憐を見下ろした。 「どうした、小娘」 「い、ま…虚月、様…あっ!」  言いかけたところで、虚月はその言葉を遮る様に可憐の首筋に唇を落とした。 「黙れ」  そのまま、可憐の肌に牙を立てた。 「…!…ぁ……っ!」  意識が白くなった。  下からも、上も、突き立てられ、可憐は強引な絶頂を迎えた。  「だれが、お前のような小娘に、蜜のような言葉を吐くか。…小娘」  最後に耳にしたのは、虚月の囁きだった。 「…っ虚月様…っ」  可憐は、濡れた指先で虚月の身体を思い出していた。  口元に手繰り寄せた服を噛みながら、声が上がってしまうのを可憐は我慢できずにいた。  いやらしい、小娘が。  窓から覗く銀の光が、可憐を抱いているように感じた。  虚月が、耳元で囁いているような錯覚に陥る。 「ぁ…っ」  しなやかな指がどう腰を辿り、自分を抱いていたのかを思い出しながら、可憐は熱くなっていった。  濡れた音を立てて、蜜の溢れる秘所に指を突き立てる。  二度三度と中を探ると、自分でも驚くほど蜜が溢れた。  未発達なままの胸の突起を、虚月の唇がきつく吸い上げる。 「…っ」  こんなに、乱れた姿を、虚月はどう見て、何と言うだろうか。  指先に蜜を絡ませ、可憐は激しく自分を追い上げた。 「…ぁ、ぁぁっ、虚月さ…まっ…」  濡れた音が響き、可憐は脱力してベッドに沈んだ。    裸の首には、小さな十字架が揺れていた。
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