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第二部 海賊王子と狩人妃(6)
「あ、ああ、でんか……っ」
ぴた、と俺は貪る手と口を止めた。
数秒経って、欲しい快楽が得られないことに、弓香が薄らと瞼を開ける。
「弓香。二人っきりの時は、”あなた”と言え」
殿下ではなく。
「出来ません」
即答で、しっかりとした声だった。
「何故」
「私は殿下の忠実な一の部下だからです」
(やっぱり)
内心、予想していた通りの答えに、俺のマグナムが萎えそうになった。
(こんな艶な場面で言うことじゃないだろ、それ)
しかし、今後の正しい夫婦生活の為にも、愛しい妻の認識を糺しておかねば。
「お前は俺の妃 だ、それ以外の存在であることなど、許さない」
軍隊で部下を持っていた時に使った勁い視線をあてても、弓香は怯まず凛とした視線を返してきた。
「なりません」
頑固な妃 の態度に泣きたくなるが、ここで泣いては男が廃る。
「弓香」
俺は彼女の双眸を再び覗き込んだ。
「確かに奥洞海の血を引くお前を娶った」
あからさまに、弓香の躰がびくん!と跳ねる。
胸の膨らみ。
腰のくびれ。
股関節のきわどい辺り。
語り掛ける間も、彼女の熱を醒まさぬよう、あちこちに手を彷徨わすのを忘れない。
「だが、それはお前を俺の≪影≫にする為だからじゃない」
処女を奪って隷属させようなんて、流石に鬼畜な俺でも考えない。
「お前を”俺の恋人、愛している女。妻”として迎え入れたんだ」
弓香の双眸からきらきらと涙が零れた。
「お前と二人きりの時は、『殿下』ではなく。敬称を持たない只の男でいたい」
お前を愛している時位、国も責任もかなぐり捨てて、ただ重なり合いたい。
「弓香。お前を愛しているのは国の舵取りをしている男じゃない。単にお前に惚れてる海賊だ」
「……さま」
小さな声だったが、弓香が俺の名前を呼んでくれて、それで十分だった。
「愛してるよ、弓香」
「……さまっ」
その声に、再び俺は弓香の胸にむしゃぶりついた。固く尖った乳首を、指で押しつぶす。
弓香から歓びの声が迸った。
「ア、あ!あなた……!」
夫たる俺を呼ぶ妻の声に、たまらなくなった。
乱暴に彼女の太ももを割り開くと、わななき待ち望んでひくついている蜜口に遠慮なく喰らいついた。
「あ、あんん……」
弓香が、感に堪えないと言った風情で白い首を逸らした。
ほんのりと彼女の白い躰が闇に浮かび上がる。
じゅ、と蜜口の上の珠を吸えば、女の太ももが頭を柔らかく挟み込んで来た。尻をいやらしく揉み込みながら、俺は夢中になって弓香の甘い蜜を舐めとっていく。
「あ、ンっ、あな・た、あな、たっ……!」
ちゅう、と珠を吸い上げると、弓香が達した。
ふわり、と女の濃厚な匂いが漂ってきて、俺は酩酊しそうになった。
(この前は充分に解さないまま、彼女に突き入れた)
俺に喰われたがっている彼女を前にして、野獣な下半身が何処まで我慢できるかわからない。しかし、この夜が彼女にとって甘い一夜となるよう、全力を尽くそう。
「弓香。痛かったら、言えよ」
用心深くゆっくりと、ひくついている蜜口の中に指を差し入れた。
「んっ」
弓香が鋭く啼いた。
(狭い)
まだ、一度の交合しか果たしていない蜜路は、処女の時と変わらぬ固さと狭さを保っている。
第一関節迄をゆっくりと浅く出し入れする。時折、躰の熱が醒めぬよう、珠を弄ってやった。
彼女の手が、俺の手を探して彷徨ってきていたので、握らせてやった。
上体を起こして、彼女の顔にキスを落とし、強張りを取り払ってやる。
「ん……」
優しい接触に、息を詰めていた躰が、徐々に強張りをなくしていくのがわかった。段々と指の抽送を深くしていき、とうとう指の付け根まで差し入れた。
ぐる、と回したり、蜜口から数cmの天井を刺激して、彼女のイイ処を探った。愁眉は開かれていないが、一生懸命に蜜路ナカの異物感を快楽に変換しようと、裡なる躰の声に耳を傾けているようだった。その、いじらしさに滅茶苦茶にしてやりたい気持ちと、真綿に包むように愛してやりたい気持ちが交互に湧き上がってくる。
「大丈夫か」
「へい……き」
一本の指には十分に潤ってきたソコに、二本目の指を一本目に添えて差し入れた。
「ああっ」
うっとりと閉じかけていた目が開かれる。
「解さないと、後が辛い。お前はゆっくりと呼吸だけしてればいい」
「……はい」
弓香の瞼がぎゅ、と閉じられ。しかしけなげに、呼吸を繰り返した。
いじらしくて、蜜口の上の珠を唇で挟んで優しく揺すった。
「うう、ん……」
あえかな息が口から洩れ。その中に微量であっても甘さが含まれていたので、ほ、と俺も息を吐きだした。
舌で珠を剥いてやったり。優しく転がしてやると、じゅん、と蜜路の中が潤みだした。
くちゃくちゃ。
指を二本まとめたまま、ゆっくりと出し入れを繰り返した。
「あ、」
ん。
彼女の吐息が甘い吐息に変わったのを、見逃さなかった。
「まだ、ナカではイけないだろう?此処で達しておくんだ」
俺は更に充血した珠を優しく吸ってやった。
「あぁ……」
気持ちがいいのだろう、腰を高々と上げて、俺になすりつけてきた。俺の頭を挟み込む太腿の柔らかさと滑らかさにうっとりとしながら、俺は夢中で弓香の股ぐらを貪っていた。
と。
「あ、あッ」
弓香が再び達した。
「弓香。力を抜いておけ」
「はい……らな、い……」
まだ口答え出来るか。
(上等!)
俺は彼女の太ももを割り開くと、ぐ、と腰を彼女の脚の谷間に押し付けた。
「あ、ン……」
弓香が漏らした、鼻から抜ける声が俺の腰を直撃する。
亀頭で、蜜に塗れた谷間をヌルヌルと上下させた。亀頭は珠を掠めたり、蜜口ににゅるん、と入りかけたりする。すると蜜口がもの欲しそうにひくついて、俺を奥に奥に誘い込もうとするのだ。
「は」
(やばい)
トロトロに解け切ったそこは、熱があるんじゃないかと思うほど熱く。ぱっくりとその花唇を拓いて俺を手招きしている。挿入はいった瞬間、射精しそうな気持ち良さだった。
「あん、やあ……イジワルしないで……」
弓香が強請ってきた。
「早く……ぅ」
尚も秘裂を縦にヌルヌルと擦ってやると、耐え兼ねたように躰をくねらせた。
「挿れるぞ」
すると弓香はこくこくと首を振った。
ぐ、と挿れた瞬間、ひぅ、と弓香が空気を呑み込んだ。
女は入口が一番狭く、男は先端が一番太い。
相容れない大きさ。
それは挿入を阻むもので、出ていくことを阻むものだ。
女は子宮で考え、蜜路で男を手玉に取る。
ぐぐ、と押し込んだ。
「入ったぞ、弓香」
根元まで挿れて、軽く揺すって見せた。しっかりと閉じた瞼。夜目にも汗が光っているのは、興奮だけではないだろう。
「……ウン」
大きなグラインドは辛いだろう。俺は奥で少しずつの抽送を繰り返した。
忘れずに珠をいらってやる。
「はぁ……ん」
その表情はうっとりとしたものになりつつあった。
俺にもあまり余裕はないが、ふるり、と揺れた二つの膨らみがあまりにも美味そうだったので、かりり、と先端を噛んだ。
途端。
「きゃん!」
と可愛らしい声で啼いて、彼女の躰が跳ねた。
「弓香は、此処が好きか」
乳首を咥えながら、俺はふ、と笑った。
(今度は此処でイかせてやるか)
「やぁん。喋らないでぇ……」
息が敏感な処に触れたらしく、弓香は躰を震わせた。そして、ぎゅう、とナカの俺を絞り込んで来た。ぐ、と分身が膨張したのが、自分にも弓香にもわかった。弓香が細く悲鳴じみた声を上げる。
「あ、やん、大っき……!」
(くっ)
つくづく、男って単純だ。
可愛く悶えられて、分身を熱く絡みつくように絞り込まれてしまえば、フィニッシュまで一気に駈け上ってしまう。
「弓香、動くぞっ」
言わせも果てず、俺は律動を開始した。
抜ける程に引いたかと思えば、子宮口にぶつかる位に奥深く挿入する。
弓香は大波に翻弄される小舟のように、ただひたすら揺すぶられて、啼き。俺にしがみつく他なかった。
「ふあ、あんっ、あな・た……っ」
時折、意味のない嬌声の中に、俺を呼んでくるのが、愛おしくてならない。
まなじりから、ぽろぽろと零れ落ちるダイヤモンドのような煌めきに、俺は目を奪われた。
お前を啼かせているのは、俺。
その事実が、俺の躰に強烈な快感を駆け巡らせた。弓香の躰も俺から精を搾り取ろうと、蠢いていた。
「弓香、イくぞ……っ」
最奥を穿つように分身を叩き付けた。
「く……っ」
精が腰の芯から精管を通って、鈴口に至るまでの強烈な快楽に、俺は身を震わせた。
そして、放った瞬間。
弓香も、俺の熱い飛沫を身裡に受けて、達したのだった。
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