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第一部 海賊王子とテッセンの女(5)
「君になら、寝首を掻いて貰って構わない。なんなら、その塞ぎたくなるような唇を使え。更なる希望を言えば、もっと下を弄って俺を昇天させて欲しい……おっと」
彼女の手から鉄線が飛んできた。予想はしていたので、グローブを装着した手で受け止めて、仔細を検分する。
「ふーん。実際は1mm位の鋼線を編んだ、鎖なのか」
俺はじっくりと見た。
(実に精巧な鎖だ)
二人の間で、線にしか見えない微細な鎖が拮抗したテンションの為に、びりびりと振動していた。彼女が俺の手から取り戻そうと引っ張ってるからだ。
「返して……っ」
「やだ♡」
(そういえば)
祁答院傘下に有名な宝飾店があったよな。あそこのチェーンが芸術品なのだと、昔のGFが言ってて、買わされたっけ。
(あの技術がこの鎖に生きてるのか。……いや。こっちの技術をカネにしたんだな)
俺はにやり、と笑った。
「せっかくだから、借りるよ」
「!!」
彼女の両手を鉄線で拘束して、ソファに押し倒した。
「誰かっ」
恐怖の、というよりは闘う為の声。
(いーねー)
敵の技量を見極めて、自分より上とわかっていても諦めない、お前が好き♡
が。
状況は正しく教えてやるべきだな。
(ウン)
「無駄♪このビルは俺の≪影≫達が制圧したからね」
「!」
服の上から豊かな胸を揉みしだく。
バタバタして抵抗した処を狙って、すかさず両脚の間に躰を潜り込ませた。そのまま膝で彼女のイイ処を刺激してやる。
「は……ぅ」
頬を染めて喘いじゃってる処は、20歳そこそこの小娘とは思えない。
(おぢさん、イケない事をしてる気分だぜ☆)
イケナイ事をしてるんだけどな。
(お詫びに、何度も天国にイカせてやるからなー)
安心して、感じてなサイ。
「俺に堕ちてこい、弓香」
俺は彼女の耳朶に熱く吹き込んだ。
「んっ」
びくりと跳ねた。
(いい反応)
「国家に捧げてるから、俺の魂はやれない。が、俺の心は根こそぎお前に奪われた。もう、やるものがないから、お前を貰う」
「……っ!」
服の上からでもはっきりとわかる程に勃ちあがった乳首を片方は弄り、片方を咥えた。
「は、何その理屈……っ」
(突っ込んでくる気概があるか)
益々いい。
早く、お前に突っ込みたいよ。
「俺の子供を生め」
乳首を咥えたまま喋って、胸の部分だけ釦を外した。ブラジャーを隠し持っていたナイフで切る。
「!」
瞬間、彼女の躰が強張った。
「大丈夫だ、弓香。怖い想いをさせるつもりはない。……ただ、お前を気持ち良くさせたいだけだ」
そのナイフを彼女の顔近く放り投げた。弓香が、それを目線で追っているのは知っていた。
彼女の両手は、未だ鎖で縛ってあった。俺は鞭を使うのが得意だ。ベルトでもあれば、それなりに戦える。鎖を鞭の一種だと思えば取り扱うのは、造作もないことだった。
しゅる、と鎖を外した。手が自由になった弓香が呆然と呟く。
「な……んで」
「弓香。お前が俺を殺したいなら、そのナイフを使うがいい」
「!」
「の、前にキスさせろ」
「っ」
顎を掴むと唇をこじあけさせ、弓香の咥内を貪った。
(殺されるんなら、味わうだけ味わっておきたい)
バンバンと頭や肩を叩く手が煩いので、指を絡めてしまう。
(ま。こんな事をしても立ち向かう気があるなら、どうとでもしてくるだろ)
彼女の甘い咥内や可愛い舌を味わいながら、考えていた。
奥洞海の血を引くなら、それなりに武術を極めているだろう。
(武術。人を毀す、技)
あの鉄扇の捌きと体術が、その証拠だ。あの動きを見た時、体がざわついたのだ。
人を殺せる技術を持つ女。
俺の隣で、自分の命を護ることの出来る女。
この女を手に入れることが出来れば、命を狙う奴らに襲われても俺は自分と国家の心配だけしていれば済む。
「お前に殺されるなら、本望」
祁答院の血を引く人間に王家の人間が殺されれば、奥洞海と大神が黙ってはいない。旺月と日本国全体を巻き込んだ争いが勃発するだろう。
(構うもんか)
お前がナイフを突き立てた瞬間から俺の命が全て流れきるまで、お前に愛の言葉を囁いてやろう。
「……」
弓香の躰から、力が抜けた。
「いいのか?」
俺はキスをいったん中断して彼女の顔を真上から覗き込んだ。
「お前が抵抗しないなら、俺はこのまま頂くぞ」
「……」
弓香が顔を背けた。耳が紅くなっている。
「弓香」
俺はもう一度、顎を捉えて、弓香の顔を俺に向けさせた。その手にナイフを握らせて、刃先を己に向けさせた。
「俺はお前を犯そうとしている。おまけに、祁答院の東の本拠地を不当に占拠しているんだ。正義はお前の上にある。”力”を使えば、この国を戦争に巻き込まさないことは出来る。俺を殺していいんだぞ」
「……」
弓香はじっと俺を睨んだ。
きらきらと、欲の籠ったオンナの眼で。
俺を。
「いいか、これが最後通牒だ」
彼女の唇すれすれに囁いた。
「今、お前を抱けば。俺は一生お前を手放さないぞ」
惚れた女が自分の手の中に堕ちてきた。それを逃がす程、俺は甘くはない。
「……くっ、」
弓香が何かを呟いた。
「うん?」
聞き取れなかったので、訊ねたら。
ぐい、と首を掴まれた。
「早くっ、抱け……っ!」
「オッケ♡」
「ほんっと、軽い……っ!!」
未来の王子妃が忌々しそうに呟いた。
(そんなに紅い頬してたら可愛いだけだよ、弓香チャン)
お許しが出たので、剥いた。
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