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決意(1)

停学期間明けに冬休みが訪れた。 そのまま、ずっと家にいることになった俺は、退屈しすぎて頭が爆発しそうだった。 波はというと、大学のセンター試験に向けて勉強をしている。 邪魔をしたくなかった。 波の夢は、応援してやりたい。 心からそう思っていたからだ。 俺はかぶりを振ると、ダウンコートを羽織った。 久しぶりの外だな。 そう思いながら、俺は玄関から飛び出した。太陽が眩しく光輝いていて、俺の目ん玉に突き刺さる。眉間に皺を寄せながら俺は金田の家に向かっていた。 金田の家に行く途中で、一年の時同じクラスだった砂月と出会った。 顔と名前は一致しているが、あまり話したこともなく可愛らしいボブカットがクラスの男子から好評だったことだけは覚えている。    俺を見るや否や驚いたのか、砂月は「あ」と、蚊の鳴くほどの小さな声を出したかと思うと、持っていたレジ袋を地面へ落としてしまった。 ぐしゃっという音が聞こえ、大体何が入っていたのかは想像がつく。 「あ~あ、なにやってんの?」 俺がそう言っても、砂月の体は固まったままで、目の前でつぶれた卵が入った袋を拾おうと手を伸ばしたが、砂月はこともあろうか後ずさりをする始末。 ムッとした俺は、その袋を拾わず体を起こすと、片足を上げて勢いよく袋を踏みつけた。 再び、ぐしゃぐしゃという不快音が響く。 苛立ちが俺の中で蠢いているのが分かる。 砂月は泣きそうな表情で、その場から走り去って行った。 きっと、もうすでに泣いているのかもしれない。一言も俺と言葉を交わさずに、砂月は逃げた。 そんなに俺とは話したくなかったのか?  だが、俺はそのまま割れた卵を見つめていた。ゆっくりと足を上げると、靴底にはねっとりとした白身がくっついていた。 「はは、きったねーな。精子みたいじゃん」 と、声を出して笑った。 だけど、心の中では笑っていなくて、話したこともない砂月に八つ当たりなんてして「サイテーだな、俺」そう小さく呟いた。
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