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已んだ世界(7)

あてもなく彷徨っていた俺は、金田の家に辿り着いた。制服姿のまま、いつものように金田の部屋のベッドに寝転がると、天井の木目を見つめ、ぽつりと呟いた。 「なぁ、金田。俺ってドSかも」 「は? Sよりもヒドイの? お前、どんなエッチしてんの?」  ベッド脇に座っていた金田が俺の顔を覗きこむ。 そんな金田の顔を後目に、俺は目を閉じた。 「泣き顔が見たいんだよ。たまんねぇよ、アイツの泣き顔。縛ってくわえさせたら、すぐ泣くんだぜ?」   言いながら、俺は瞼の裏で、波の姿を想像していた。 金田は俺に彼女がいることは知っている。 だけど、それが波とは言っていない。 つーか、実の姉と肉体関係があるなんてこと、誰にも言えねぇよ。 「彼女、かわいそう~。でもさ、お前のドSっぷり、見てみてぇかも」   金田は苦笑しながら、俺の傍を離れ再びベッド脇へと座った。 「いいぜ~? んじゃ、掘ってやるよ。てめぇのケツ」   俺の不気味な微笑みを見た金田の手から、持っていた雑誌が零れる。 「なに本気にしてんだよっ、馬鹿! 冗談に決まってんだろっ? 誰が男とセックスなんかするかよ」  呆然としていた金田に対し、俺は必死に冗談だと否定した。 「まじ焦った~。さすがにそれはやべぇだろ?」 「男と男はやばい……よな? でもそれよりも俺はもっと……」   やばいよな? 俺と波の関係は。 今じゃ、同性同士、結婚できる国だってあるんだ。 性同一性障害の人とか、少しは認めてくれる人間もいるってことだろう。 だけど、俺と波は実の姉と弟。 関係が公になれば軽蔑され、罵られ、きっと俺達はこの先も光を見ることはできないだろう。 ただ、地獄へと堕ちていくのを待つだけだ。
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