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第1話 シーラカンス

海。 それは我々生命が誕生した母なる場所。 生き物は進化を重ねていき、ある生き物は陸へある生き物は空へ…。 そして海の中でも進化を重ねて、様々な生き物が生まれた。 人は宇宙(そら)ばかり研究するが、海は我々が浅く考えれる程簡単ではなく。 我々人間が理解にしくいことも起きる。 陸に人間が居るように、海にも海に特化した人間がいる。 そして、その海では均衡を保つために神と悪魔であるポセイドンとリヴァイアサンに選ばれし14人…善の天海(てんかい)7天と悪の深海(アビス)7天が100年に1度に自身の願いと魂を掛けオーシャンバトルで戦うのであった。 「…見たことない…だけど、耳?鰭?尾鰭?尾鰭みたいなものは…シーラカンスに似てるし…しかし、人間の姿だし…」 ---誰だ?メスの声がやけに俺の耳に入る。 確か…俺は…。 重たい瞼をゆっくり開けると、目の前で映るのは。黒く短髪で、綺麗な青い瞳をしたメス。 「やっと目が覚めたか!」 「………」 「だ、大丈夫か?」 「……った」 「へ?」 「……腹減った」 目覚めると同時に空腹の音がなった。 そうだった、オーシャンから出る時に昼飯忘れてそれで…腹減ってたんだった。 「魚は今はきれてるし、こんな時間だから簡単のしか作れないが、私が美味いもん作ってやるから、作り終えるまで休んで」 メスは自分に任せろと言わんばかりにその場を去っていった。 俺は寝床から起き上がり、辺りを見渡す。 「……オーシャンではないな。俺は陸にいるのか?」 辺りは本がやけに積んでいたりと…汚いわけでもなく、綺麗でもないなんとも言えない部屋だ。 しばらく部屋で待ってると、さっきのメスが戻ってきた。 「なんだ?そんなに私の部屋を見渡して珍しいか?」 「……」 「ほら、ごはんできたから。立てるか?」 メスに言われて脚を寝床から出す。 オーシャンとは違い、陸は浮かない…。 ゆっくりと寝床から立ち上がる。 「…でけーな、浜辺でアンタを助けた時もそうだけど…アンタ身長いくつ?」 「陸の人間で言えば……190cmだ」 「ほへーすげーな」 メスは俺を不思議そうな顔で見上げる。 その姿がまるで子どものようだ。 人間のメスは小さいと聞いたがここまでとは…。 「あ、チャーハンが冷める!ほら、こっちだ」 メスに案内されてリビングらしき所にいく。 机の上にはご飯らしきものが置いてあった。 「余りの白飯で作ったやつだけど、食べないよりかはマシかな?」 「………」 メスから匙を渡され受け取る。 しかしなんだこのチャーハンというのは…やけに美味い匂いがする。 「大丈夫だ、毒とか入れてないから!ほら食べなって」 メスに促され、匙でチャーハンをひとすくいし口に運ぶ。 「ん!?」 「お?美味いか?」 なんだこの美味さは!初めて食べる味だ!陸の人間はこんなものを食べていたのか! チャーハンの美味さと匂いが匙を動かす。 腹が空いてたのもあるが、海で食べていた料理よりもはるかに美味い。 「メスよ、このチャーハンというのは美味いな」 「美味くてよかった!てか、メスって…メス呼びはやめて、私は深海アオ。アオって呼んで」 アオは幼い顔ながらも優しく微笑みながら自己紹介をする。 「オレはセラ・クロッソ・シーラカンス」 「シーラカンス!?やっぱりシーラカンスだったんだ!!」 「なんだ?知っているのか?」 「知ってるのもなにも、私は海洋生物学者だからな!その中でもシーラカンスは私が研究してる魚なんだよ!」 「魚って…お、おい!」 アオは自室に急いで行き、両手には本等担いで自室から戻ってきた。 「人間の姿をしたシーラカンスなんて初めてだ!!名前長いからセラって呼ぶ!いやぁ、新たな発見に私は胸が踊るよ!!てか、なんで人間の姿なんだ?教えて!!」 アオは次々へと本やら紙を広げていく。 そこに書かれていたのは、俺の本来の姿が詳しく書かれていた。 学者というのは伊達ではないようだ。 今気づけば、アオの自室にリビングにはシーラカンスの他にも様々な海の生物の資料があった。 「これ、全部お前が書いたのか?」 「本以外は私が独自で調べてまとめた!なぁなぁ!もっとセラの事聞かせて!」 「……まぁ、生き倒れたところを助けた上にチャーハンをご馳走になったからな、話せる範囲でなら話そう」 助けてくれたのとチャーハンのお礼に、俺がなぜ人間の姿なのかを教えた。 「まぁ、お前たち陸の人間からしたら俺達は魚に部類されてもおかしくは無い。だが、俺達はお前達と同じ人間で、耳鰭や尾鰭は先祖の特徴…。例えば俺はシーラカンスの子孫にあたる…。遥昔、海の生き物は厳しい環境を生き抜くために、進化の過程で人間と魚が互いの知識、身体を混ぜて産まれたのが天海人だ」 「ちょっとまって、それじゃあ…人間の姿をしてない生き物は?」 「それは、神の加護が産まれながらない生き物だ…海で産まれた生き物全てが天海人になれるわけではなく、神の加護…つまり海神のポセイドンの選別に選ばれた生き物のみなれる」 「何故そんなことを……」 「お前ら陸の人間が一番分かるだろ?」 「!?!?」 「そうだ、陸と海は別に見えてそうじゃない…海の魚を人間や他の生き物も生きる為に食べる。海の生き物全てを天海人にしたら、陸の生き物が生きれなくなる…神の選別は陸と海の均衡を保つ為の手段なんだ…だから、選ばれた生き物から長く代々と受け継がれ、1つの一族になる」 「…そうなんだ…てか、なんでセラは陸にいるの?」 「それは……っ!?」 アオに陸に居る理由を言おうとしたその時だ、ただならぬ殺気を感じ、後ろ振り向くと窓らしき向こう側に、覚えのある奴がいた。 赤い髪に、頬にはサメ特有のエラ…しかも古代ザメ特有の5本エラ。 そして、サメにしてはしなる耳鰭に尾鰭…。 アイツは…。 「懐かしい匂いがすると思って、来てみたら…やはりてめぇか…天海7天…双璧のセラ!!」 「最悪だな、よりによって…深海7天の嫉妬深エンヴィー…」 「え、ちょ、セラ!?ここ15階だよ!!アイツなんか飛んでる!?どうゆうこと!?」 アオは今の状況に驚きを隠せなくて、俺の方に直ぐに駆け寄った。 「まさか、オーシャンバトルで50年振りに…てめーをぶっ殺せる日がくるとはなぁ!!」 「この感じ…まさか!?アオ!!」 ドゴォォォォォン!! セラの凄まじい一撃が放たれ、俺はアオを庇う為に、防御魔法(ディフェンス)を発動しアオを護った。 「…相変わらず、魔力だけは凄まじいな…大丈夫かアオ」 「っ…ん…セラ!?ちょ、どうなんっての!?」 「やはり、双璧って謳われてるだけはあって、(つがい)が居なくても力は出せるか」 「……エンヴィー、…お前のそのみなぎる力は…まさか番を!」 「あ??そんなの今から死ぬてめーには関係ねーだろ!」 まずい…エンヴィーは俺より先に番を得ている。 番との戦い方によっては、エンヴィーの魔力もかなり強くなり、防げなくなる。 しかし、力が強くなるという事は近くに番がいるはずだ。 俺は感知魔法を開くが、魔法に制限がかけられていて感知しにくい。 「…まさか先に番をねじ伏せようとしてるか?やめとけ…番がいないてめーは、力の制限がかけられてる。それにだ、俺がお前に易々と番の居場所を教えるわけがないのを、てめーが一番知ってるはずだ」 「っ……」 俺達オーシャンバトル参加者は陸への均衡を崩さない為に、互い神から力を制御する呪いをかけられている。 本来の力を発揮するには、陸にて番を見つけて契りをする。 契りを終えた番は、制限の呪いが解かれ、互いの肉体と精神と能力を共有し、互いの同調が高ければ高い程力を最大限に引き出すことができる。 しかし、番の陸の人間かまたは俺達が死ねば力は失いロスト扱いされる。 「それにしても、お前は本当に馬鹿だよなぁ…番もロクにもたず、力も発揮出来ねぇ…その上にだ!番でもなんでもないただのメスに被害が出ないように護るだけのお前に何が出来る…」 エンヴィーの言うとおりだ。 今の俺じゃエンヴィーにまともに戦えない。 しかし、流石にこれ以上アオの住処で闘う訳にはいかない。 俺はアオを確認する為に振り向いた。 「アオ…ん?アオ?」 さっきまで後ろにいたはずのアオの姿が見当たらない。 「どっかの、ポセイドンのクソジジィは天海と深海の均衡を保つためだとか言ってたが俺にはかん…」 「いい加減にしろよぉこのやろぉぉぉぉ!!!」 「!?!?」 ドス!!! 「んぐぅ!!?」 アオは俺が知らないうちにエンヴィーの真横から、誰もが驚くような勢いがあるドロップキックをエンヴィーの顔にぶち込んだ。 その姿が可愛らしいくもあり勇ましかった。 「てめぇ!!人の家をボロボロにした上に演説みたいにぺちゃくちゃぺちゃくちゃうるせーんだよ!!しかもお前、その耳鰭に尾鰭…てめぇ、ラブカじゃねーか!!」 「この…よくも…このメス!!ルールなんか関係ねぇ!!なにが均衡だ!!…てめーから死ねぇ!!」 バギィ!! エンヴィーはアオの腹に素早く蹴りを入れ、アオは勢いよく外へ蹴り飛ばされた。 「んぐぅ!?」 「しまった!!アオ!!クソ!!、閃光魔法(エクレール)!!」 「ち、しま」 ピカァァ!! 同時に、俺は咄嗟に閃光魔法をエンヴィーの真正面に使い、隙をついて素早くアオの後を追った。 「アオ!!」 まずい、エンヴィーの蹴りの一撃で気を失っている!!このまま、地面にぶつかれば死ぬ!! 俺は、加速魔法(アクセレイション)を使い建物伝いでアオに追いつき、素早くアオを抱く抱え、無理やり建物を勢いよく蹴りその場から離れるようにした。 そして衝撃に備えて防壁魔法を背中に出した。 ドゴォォォォォン!! 凄まじい音と同時に地面に叩きつけられた。 「っ…アオ…大丈夫か!!」 「くっ…つ…ガハッ」 「…!?まずい…肋骨が肺に刺さってる…」 アオは予想以上に吐血をしている。 エンヴィーの一撃が軽かったのか、運が良かったのか陸の人間がこの程度の傷で済んだのは幸いだ。 まだ、治療すれば命は助かる…しかし、まだ番を得てない俺は治癒魔法は使えない…使えるようになるには…ただ1つだけ。 「…強引だが、巻き込んだ以上仕方ない…」 俺は血で紅く染まったアオの唇に、自身の唇を重ねて離れ、詠唱をした。 「汝の肉体と魂を礎に 陸と海への導き。 祖は我がシーラカンスの元へ。 汝の魂を7つの海が導き、我が母なる海へと至り循環せよ。 汝の身は我が下に、我が運命は汝の双璧に。 神の誓い従い、この意、この理に従うならば応えよ 誓いを此処に 我は天海7天の双璧と成る者として契約を結ぶ」 アオの身体が光輝き、身体全体に契約の呪文が刻まれていき、アオの右腕に契約の印が刻まれた。 「契約は成功した…やり方は強引だったが、助けるためだ仕方ない…」 連続で更にアオの傷を治していく…。 肺の辺りに手をかざし、 治癒魔法をかける。 ゆっくりと落ち着いて、傷に自身の魔力を流し込むようにし、傷を癒していくが…。 「!?!?…なんだ…この感覚…やけに魔力の放出が高い。契約したばかりだからか?こんな…いや、そんなことどうでもいい、とりあえず早く治すぞ」 自身の魔力はコントロールしてるはずなのに、魔力がアオに吸われるような放出だが、俺はアオの傷を治すために、集中し少しずつアオの傷を治していった。 そして、傷を直し目が覚めるまでしばらく待つと。 「……ん…ここは?」 「目が覚めたか?」 「セラ…私一体…ここは?」 「お前の住処の近くの山だ、エンヴィーなら番と共に住処から離れたから大丈夫だ」 アオはゆっくりと起き上がる。 「お前は、エンヴィーに一撃食らわされて、死にかけた…お前の命を助けるためだったが、無理やり契りをして俺の魔法で治した」 「契り…契り!?」 ばっと身を守るような動作をするアオ。 「あったばかりなのに契り!!?ちょっと!!セラ!!」 「お前なんか勘違いしてないか…?」 「だって、契りって!!」 「あー……そうか、そっちだとそう捉えられるよな…別にお前と交尾した訳では無い。右腕を見てみろ契りの証があるはずだ」 「証……?」 アオは右腕を確認した。 そこには契りの証である俺の一族の印が刻まれていた。 「戦いに…オーシャンバトルに巻き込んですまなかった。しかし、俺とお前は番だ。俺が巻き込んだ分お前が死なないようにまも…」 「オーシャンバトル!?何だそれ?!あの昨夜のやつがセラに攻撃したのってそれ!?ちょっとくわ……んっ!?」 俺はアオの好奇心で煩い口を唇で塞いだ。 「んっは!…ちょ、いきなり!!てか私のファーストキス!!」 「ファーストキスは契約の時に俺が貰ってしまった。…番になった以上お前は俺の一生のメスで、どちらかが死なない限り番契約は解除されない」 「え?……メス?メスってことは…」 「陸の人間に分かりやすく言うなら、俺の妻でもあるし彼女でもある…言葉的に近いやつは妻だな」 「妻ってことは…まさか…繁殖もしないといけない?」 「もちろん。あ、陸の人間ってのは分かるから俺ら天海人みたいに一気に産ますのはないから安心しろ…」 「安心出来るかぁ!てか、なんだよこれ!190cmのシーラカンス男助けたら、ラブカ男に奇襲されるし、なんなら私は死にかけて、助けるためにファーストキスを奪われて契約されて、シーラカンス男の妻!!」 「嬉しくないのか?お前、生まれてきて異性関係なかったろ?」 「なんで彼氏歴も知ってだよ!!」 「契り時には陸の人間の記憶が情報として多少入ってくるからな」 「あぁープライバシーとはなんだよ!!!!」 1人ツッコミしてるアオを俺は呆れながらもゆっくりと抱き上げた。 「1人ツッコミしてる所で水を差す様なこと言うが、お前俺の事好きだろ?」 「っ!?////はぁ!?////」 アオの顔は茹でタコの様に真っ赤になった。 「言わなかったが、契りは必ずしも成功する訳ではなくて、互いに好意や愛がなければ出来ない仕組みなんだ、それが成功したってことはお前は俺に好意がある事だ」 「な、なんだよその仕組み……」 その様子だと、好意を抱いてたのをバレたことに少しだけ呆れるアオ。 「嫌か?俺はお前の事好きだがな…契ったからとかではなくて…あの時、エンヴィー相手にまともに闘えてない俺を気にしないで、ラブカの顔にドロップキックを入れた上に怒鳴りつけるところに惹かれてしまった…あとチャーハンが美味いのもある」 「……っ…恥ずかしいからあんまり言わないでくれ」 恥ずかしさからか、顔を背けるアオ。 俺より小さくて可愛らしく男勝りな俺の番…。 「大丈夫だ、番になった以上俺はお前を絶対に守り抜くから、これからもよろしくなアオ…」 「もう、私はなんにも突っ込まない…うん…ただ恥ずかしい」 こうして、俺はアオと出会い番になった。 そしてこれから続くオーシャンバトルに俺とアオは挑むのであった。
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