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「ここが貴女の部屋です。なにか遭れば、私をお呼びください。 ………では、また」 そこは薄紅色で統一された、豪奢な調度品が立ち並ぶ部屋だった。 深く一礼して、フリートが部屋を出ていく。 「はぁ…………。」 寝台に飛び込む。 「私………これからどうなるんだろう………………、」 自分の掌を見下ろす。 不安が胸を塗りつぶして、慌てて首を振った。 「考えるのはなし! もう寝てしまおう………!」 シーツを頭まですっぽり被り、『大丈夫だから』と説き伏せる。 やがて、ゆるゆると意識を霧に沈めた………。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 草木も眠る真夜中。舞い降りる影がひとつ。 純白の羽を仕舞うと、音も立てずに忍び込んだ。 「この子が、緋乃祈璃………、」 伸ばした手は、電流とともにはねつけられる。 「『触れずの魔法』、か………。忌々しいものだね」 可愛らしいおもてを歪ませる。碧玉の瞳がすっと細められた。 「ミカリス様………、」 「ルシェア………君は今後も潜入を続けて。 ………なにかの兆候があれば、すぐ僕に知らせてよね」 冷たい声で命じると、深々と頭を垂れた。 「………仰せのままに」 波うつ心中をなだめる。 飛び立っていくあるじを、その姿が見えなくなるまで見つめていた。 (ごめん………ごめんな……………祈璃) 心で詫びて、部屋を後にした。
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