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「何なんですか、あなたは………! 警察を呼びますよ………!」 精一杯の虚勢を、軽く嗤って一蹴する。 「呼んでみろよ。ここでお前を落としてもいいなら………だけどな」 足元には、遥か遠くに街の灯り。 「っ…………!?」 とたんにしがみつく彼女を、しっかりと抱えなおした。 「フリート、ハディク………! まずは彼女を安全な場所へ………!」 奪うように腕に閉じ込める。 月光を弾いて、銀の髪が煌めいた。 甘やかな光を称える藤色が、彼女を優しく見下ろす。 (………やっと逢えた) あの日からずっと焦がれてきた最愛は、いまこの腕のなかに。 温もりを分かつように、きつく抱きしめた。 「そうも言ってられねえよ。………ほら」 『ハディク』と呼ばれた紅髪の青年は、後方を顎で示す。 紅く虚ろな瞳をした人影が、いくつも追いかけていた。 その背には純白の羽があり、彼女は愕然とした。 「私………天使様に命を狙われてるの……………?」 虚ろな声に、銀の髪をもつ青年はきっぱりと言った。 「君はなにも心配しなくていい。僕が君を守るから―――」 『今度こそ』。心で付け加える。 「目障りだな。………消えてくれるね」 「え………っ?」 とまどう彼女の後ろ背を狙っていた天使に………。 バンッ………! 月灯りが凝固した銃声を放つ。 「こっちも終わったぜ、団長サマ?」 みると血濡れの天使たちが、宙に浮いていた。 「………殺してはいないね?」 「えぇ。気を失っているだけですよ」 「………いこう。説明はその後だ」 彼女を抱えたまま、夜の街を急いだ。
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