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ようやくみつけた扉をあけた時、第二の異変に気づく。 ドクンッ………。 紅い月をみた途端、急いていく生者の証を感じて。 死人のようにさまよう人影。皆、見知った顔ばかりだ。 「シスター・マリエ………?」 紅く虚ろな瞳が彼女を映す。刹那、彼女と視線が絡むと。 「…………っ!?」 短剣を手にした彼女が手首をつかむ。 そのしたたかな力に、知らず顔を歪ませた。 「シスター………! どうして………!?」 振り払い、ただ靴の音を響かせる。 それでも追いかけてくる彼女たちに、恐れだけが染みのように広がって。 「っ、行き止まり………!?」 その唇が冷笑に歪む。 そのまま短剣が振り下ろされるのを、きつく瞳を封じて待った。 ………だけど。 短剣をはじき落とす音をとらえ、悲鳴が響いた。 祈璃が叫んだのではない。 そっと目をあけた彼女が瞳に宿したのは、血に染まったシスターたちと。 「………こいつに触れるんじゃねえよ」 守るように抱えられる温もり。 気づけば、軍服姿の青年の腕のなかだった。 紅髪の狭間で、自信家な紅がすっと細められた。 「あなた、は………?」 ひどく虚ろな問い。 はっとしたように、端正なおもてを強張らせる。 「ハディク、時間などありませんよ………!」 鋭利にひかる青玉をもつ、冷たい雰囲気をまとう別の青年。 そのひともまた、軍服を纏っていて。 「あぁ、わかってる………!」 その背から蝙蝠の翼が現れるのを、信じられない思いで見つめていた。 「しっかり掴まれ………!」 バサッ………翔いて、彼女は誘われた。
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