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第六章 天女、監禁 * 1 *

 ――そこは誰にも邪魔されない楽園。    羽衣と淫行に耽る天女によって美しい花を咲かす聖域。    ちっぽけな自我など不要。だから、言うことをきくんだ、ゆ……    * * *  消灯時刻を過ぎても桜桃は帰ってこない。  先に部屋に戻っていた小環だったが、四季に渡された蝋燭が火を灯してもいないのに寝台の脇で甘ったるい香りを放つからか、妙にそわそわした気持ちになっている。  匂款冬においかんとうの花の香りに似ているが、どちらかといえば西欧から渡ってきた香子蘭バニラに近い、お菓子のような匂いがする。  食後に食べるデザートが目の前にあるような感じがして落ち着かない。  そしてなぜか下半身が熱を帯びてきた。  すでに標準服から夜着へ着替えてしまったため、白い布地からもっこりとした凹凸が露骨に見え、小環は狼狽する。  もしや――気持ちよく寝れるってソッチの意味か?  確かに生粋のカイムの民である四季なら知っていてもおかしくはない。  天神の娘である桜桃から天女のちからを覚醒させるには羽衣と愛を交わさねばならない……  冬将軍が居座る北の大地に春を喚ぶためには天女が降らせる大量の愛蜜が必要なのだから。  考えようとすると小ぶりな乳房を虐められて達した桜桃の愛らしい表情が脳裡を過り、更に小環を不埒な方向へ落とし込んでいく。 「ああもう!」  むらむらする。  火を灯さなくても甘い香りを漂わせるこの媚薬の成分はいったい何なのだ。  きっとカイムの民しか知らない危険な薬草が入っているに違いない。  部屋で桜桃が帰ってくるのを待つつもりでいたが、このままではこの部屋で自慰行為をしかねない。  それならば手紙を読むのに夢中になっているであろう彼女を迎えに玄関まで行った方がいいだろう。  あの怪しげな蝋燭を使わせてもらうのは彼女と一緒に部屋に戻ってきてからでいい。  四季だって小環に自慰をさせるために蝋燭を渡したわけではないのだから。  頭の中では未だに桜桃のいやらしい表情が小環を誘っていたが、どうにか妄想を締め出して、小環は甘い香りのする部屋を飛び出した。
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