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第四章 天女、翻弄 * 13 *

「小環……」  寝台の上に押し倒され、桜桃は困惑した表情で小環を見つめている。 「これで、お前のなかの天女が覚醒してくれればいいが……」 「あたしのなかの、天女?」  その瞬間、彼から強い抱擁を受ける。  ぎこちない距離を保っていた素肌が直接触れあい、桜桃は冷え切っていた身体に火が灯ったような錯覚に陥る。 「あ……」  甘い声を零し、身をよじらせる桜桃に小環もまた、己自身の昂ぶりを隠せずにいる。 「天女は甘い蜜で北の大地を潤し、種を芽吹かせ春を喚ぶ……」 「んっ」  囁きながらついばむような口づけを落とせば、彼女は素直に瞳を閉じる。  瞼裏に描いているのは自分だろうか、それとも今も異母兄を想っているのか。  小環は桜桃に口づけると同時に生まれた嫉妬心に翻弄されながら、ふたたび彼女の唇を狙う。  けれど桜桃もされるがままになることはなく、小声で彼を咎めつける。 「だめ、だよ……」 「だめじゃない。これは天女が望むことなんだ」 「でも」 「ほんとうは時間をかけてあげたかった。もっと優しくしてあげたかった……」  悔しそうに押し殺した声を漏らして小環は抵抗しようと手足をばたつかせる桜桃に噛みつくような接吻をする。 「んっく」 「……淫らな天女になるんだ。そうしないと、お前はずっと狙われたままだ」 「それ、って……はあんっ」  きつく抱きしめられたからか、乳首が勃ちあがっていた。男を知らないふたつの野苺は胸板にこすりつけられ、慎ましやかにしていたのが嘘のように赤くなっている。  その様子を見て、小環はほくそ笑む。 「いやがっているようでも、身体は悦んでいるみたいだな」 「そんな」 「まずは胸がお望みなのか……」  桜桃の小ぶりな乳房にそっと手を触れ、小環はやわやわと揉みはじめる。  じわじわと駆け巡る未知なる感覚に、桜桃は抵抗することもできないまま、動き回る彼の手の行方を眺めている。  その際に、彼の爪が乳首を掠めたようだ。ジン、と痛みが走る。 「痛いっ」 「ごめん、でも吸いつくような肌……きれいだ」 「あっ」  小環の顔が桜桃の胸元に近づき、そのまま乳首へ唇を落とす。 「んっ!」  ぱくり、と乳首を咥え、舌先で乳輪をれろれろと撫でていく。  その感触を桜桃は知っている。  あの淫らな夢のなかで、身体を拘束されたなか、胸だけで何度も達することを調教されていたから…… 「あああんっ」  小環に片方の乳首を口で愛撫され、もう片方の乳房を揉まれ、桜桃の身体は溶けていく。 「こら、騒いだら他の生徒に露見バレるぞ」 「……っぐ」  胸元で乳首を口にしたまま呟く小環の声にすら感じてしまい、桜桃は思わず腰を浮かせてしまう。  そんな桜桃の反応を愛おしげに見上げていた小環は、乳房を揉んでいた手をのけて彼女の口を塞ぐ。 「気持ちいいんだな。このまま達かせてやるよ」 「っあっん!」  桜桃にのしかかった状態で小環は彼女の乳首を、乳房を、犯していく。  夢のなかで見えなかった相手は小環だったのだろうか。  桜桃は熱くなっていく身体を持て余しながら、彼にされるがまま、くぐもった喘ぎ声を漏らしながら、夢で犯されたときのように。  意識を飛ばす。
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