21 / 57

第四章 天女、翻弄 * 1 *

   ――甘い甘い甘い蜜をちょうだい。    永きに居座る冬将軍を斃して、新たなる春の王を喚ぶために。    神々に愛された天女だけが持つ、淫らな甘露を溢れさせて。    * * * 「い、いやっ……」 「怖がらないで。気持ちいいことをするだけだから」  夢だと理解しているけれど、毎晩のように性的な目に合わされていると心身ともに疲弊してしまう。  誰だかわからない男のひとに視界を遮られ、薄暗いなか、繰り返される淫らな戯れ。  今日も桜桃は目隠しをされ、両手両足を柔らかい布で拘束され、ふかふかの草の上に転がされている。 「だめっ、おっぱいいじっちゃいやぁあ!」  全裸の桜桃に男の大きな手が襲い掛かる。優しく乳房をなぞっては膨らむ乳首を刺激し、胸だけで絶頂を極めさせようと爪の先でつついたり、己の唇でついばんだりしていく。  男の唾液でぬるりと湿り気を帯びた乳首は処女のものとは思えないほどに赤黒く染まり、痛くなるほどの屹立を保ちつづけている。 「ふふ。いやだいやだと言いながらもずいぶん慣れてきたみたいじゃない。そろそろ胸だけじゃなくて他の部位も可愛がってあげた方がいいのかな?」 「……え」  胸だけで達することを調教させられた桜桃はそれ以外の行為が何を示すのか思い浮かべることができず、困惑の声をあげる。  それを見て、男は楽しそうに嗤う。 「神々の戯れに興じるには淫らな天女の蜜が絶対不可欠。もっと気持ちよくなって蕩けてしまうがいい」 「もっと?」  これ以上に恥ずかしくて気持ちいいことがあるのだろうか。  目隠しをされたままの桜桃は自分の顔が火照っている錯覚に陥り、愕然とする。 「いま、期待したでしょ?」  男は抵抗しないのを見て、天女を拘束していた布地をナイフで切り裂き、自由を与える。  だらりと弛緩した衝撃に、桜桃は驚いた声をあげる。 「き、期待なんて……!」  その瞬間、目隠しが草むらの上へぱたり、と落ちて――……    * * * 「い、いや……っ」 「おい、大丈夫か!」  淫らな夢は唐突に、終わりを迎える。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!