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 そしてニナはユーノの言った通り、ぴかぴかに磨き上げられた。  今まで使ったこともないようなバラの香りの泡に包まれ、頭の先から足の爪の先まで丁寧に丁寧に洗われる。最初は他人の前に肌をさらすことを恥ずかしがっていたニナも、担当のメイドたちの熱い眼差しを受けて抵抗をやめていた。磨き甲斐があると張り切っていたというのは本当らしい。  髪をくしけずってもらい、爪をやすりで磨かれ、更に手指には香油を塗られ、城を案内されたときよりもニナはくたびれてしまう。  ようやく終わる頃には疲れのせいで半分眠ってしまっていた。  目をこすりながら満足そうなメイドたちを見送り、ユーノの顔を見つめる。 「後はなにをしたらいいの……?」 「レンド様がお教えくださいますよ」 「……そう?」 「ええ。大丈夫です。少しぐらい初々しい反応を見せた方が殿方は喜ぶと申しますし」 (……なんの話?)  ユーノがなにを言っているかいまいち理解できないまま、またニナは一人ぼっちにされてしまう。  起きているようにと散々言われたものの、目まぐるしかったせいですぐにまぶたは重くなった。  少しだけ、とベッドに横たわりうとうととまどろむ。  今日一日を振り返る余裕すらなく、そのまま眠りの淵に沈もうとしたときだった。 「まさか初夜の床でのんきに眠る妻がいるとは思わなかったな」  そんな声が聞こえて緩慢に顔を上げる。  いつの間に入ってきていたのか、レンドの姿があった。  さっき見たときとは違い、ずいぶんと軽装になっている。 「レンド様……?」  ああ、とニナは納得する。  どうやら今夜は夫となるこの人と眠ることになるらしい、と。 「だからベッドがこんなに大きいんですね……。いくらなんでも贅沢すぎると思っていたんです……」  うつらうつらしながら言ったニナの言葉を、レンドは訝しげに聞く。  ただ、聞いただけで返答はしなかった。  代わりにベッドへ上がり、横たわるニナの身体の上に覆いかぶさる。  半分目を閉じていたニナはほんの少し驚いてレンドを見つめた。 「お隣なら空いていますけど……?」 (もっと真ん中で寝たいということかしら……)  レンドのその行為を、自分が邪魔になっていると判断したニナは、すぐに横に避けようとする。  それを、レンドは許さなかった。  ニナの顔の真横に手をつき、そして顔を近付ける。  思わず、ニナの身体がびくっと跳ねた。 「あ、あの……」 「逃げるつもりか?」 「なんのことでしょう……」  ようやくニナの頭の中で警鐘が鳴り始める。この状況はなにかがおかしいと、眠気で鈍い頭が訴えていた。 「レンド様、そこをどいてください」 「なぜ?」 「……それで眠れるとは思えません」  率直に思ったことを告げたつもりだったのに、レンドは声を上げて笑った。  侮蔑と嘲笑と。そんな悪意の混ざった悲しい笑い声にニナは怯える。 「レンド様?」 「君は新婚初夜に眠るつもりでいるのか。この俺になにもさせないまま」 「あの、私……」 (なにかしなければならなかったの?)  誰もニナがこの先のことを知らないということを察しなかった。この年頃の女性が知らないということ自体がおかしいのだと、ニナも知らなかった。  そのせいで――レンドが無遠慮に胸のふくらみを掴んだ瞬間、悲鳴をあげてしまう。 「や……っ!」 「嫌なのは俺の方だ。君のような女を抱かなければならないんだからな。それでも……好きなように扱える娼婦だと考えればちょうどいい」  レンドの骨ばった指がニナの柔らかい丸みに沈み込んだ。形を確かめるように動くその指が、ニナを更に怯えさせる。 「さ、触らないでください! お願い……!」  怖い、と口に出すことすら忘れ、ニナは懇願する。  逃げようともがいたものの、その身体はやすやすと押さえ込まれた。  自由さえ封じられ、あろうことか服をまくられてしまう。  再びニナは細い悲鳴を上げた。こんな恐ろしい目に遭ったことは今までに一度もない。しかも、それを実行しているのは夫となった男なのだ。 「やだ、嫌っ……!」 「うるさい女だな。むしろ光栄に思うべきなんじゃないのか?」 「……っ、く」  腕を封じられたニナの口に、レンドが脱がせた服を押し込む。くぐもった声が漏れて、ニナは悲鳴さえ奪われてしまった。 (助けて、お義母様、お姉様……!)  そう心の中で叫んだ瞬間、レンドの指がニナの双丘の先端をかすめた。  痺れにも似た熱いものが全身を駆け抜け、ニナの呼吸を止める。 (今のは、なに?) 「嫌がるのは振りか。もう感じているとはな。君は身分にふさわしく淫乱らしい」 (いん、らん?)  女性に使うべき言葉ではないことぐらいわかっていた。なぜそんな言葉をぶつけられたかもわからず、ニナは苦しげな声を漏らす。 「んん、んっ……」  もがいてももがいても、レンドの指は執拗にニナの小さな突起を責め立てる。そこがぴんと張り詰め、更なる刺激を求めるように硬さを増していった。  その意味さえ知らず、気が付けばニナの漏らす声は濡れた甘いものに変わっていた。 「ん……ん……っ、ふ……」 (そ、こ……嫌……) 「ここを弄られるのが好きか?」 「んんーっ……」  首を横に振ったのにレンドは指の動きを休めてくれない。  指の腹で潰したかと思えば、くりくりと動かして先を引っ掻く。きゅっとつまんで引っ張ったその次には、あえて先端を避けてその周囲をなぞる。  緩急をつけたそのやり方に、なにも知らないニナは翻弄されていった。
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