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「っは……あっ、あぁっ……レンド、さまぁっ……」 「とうとう自分で腰まで動かすようになったのか。もう一度鏡を見てみるといい。君の淫らな顔がよく見えるだろうから」 「あ……や……嫌……見せないでください……」  蜜をまぶした指がぐちゅりと音を立ててニナの敏感な花芯を押し潰す。  その瞬間、ニナは鏡を見てしまった。  だらしなく口を開け、瞳を潤ませて腰を揺する艶かしくも淫らな姿を。 「どうした? また溢れてきたみたいだが、自分のされていることを知って感じたのか?」 「やだ……レンド様……」 「いい加減嫌がる振りはよせ。そろそろ君の限界も近いだろう?」 (限界って……なに?)  寄せては引いて、また襲いかかってくる波なら感じていた。  これよりももっと恐ろしいなにかが待っているのかもしれないと知り、ニナはレンドの腕から逃れようとする。 「一度達すれば君にもわかる。……もう、俺からは逃げられないということが」  レンドの指がニナのかわいらしい真珠をつまんだ。とろりと溢れた蜜をこすりつけ、だんだんその動きを速めていく。 「やっ……レン、ドさ、ま……ぁっ……」 (なにか、きちゃう)  ニナの身体に変化が訪れていた。今までは引いていた波が、引くことなく押し上げられていく。ニナの心ごとどこかへ持ち去ろうと言うかのように、そのまま高みへと追いやって……。 「だめ、だめっ……だめです……嫌、あっ……だめぇっ……!」  一際強い電流がニナの全身を走り抜け、びくんと細い身体を痙攣させた。  お腹の奥に鈍い余韻を感じながら、ニナはふらりと鏡に手をつく。  もうレンドの手は触れていないのに、とろとろにされた足の付け根がひくついているのがわかった。  足に力が入らず、倒れこみそうになる。  その前に、レンドがニナの身体を力強く支えた。 「なかなか派手に達してくれたな。そんなに俺の指がお気に召したか?」 「っ……私に……なにをしたんですか……?」 「君の身体に快楽を教え込んでやっただけだ。教え甲斐のある身体だったよ、本当に」  ぞくりとニナのお腹の奥が熱くなる。まるで、レンドの言葉を肯定するかのようだった。 (私……おかしくなっちゃったんだ……)  だんだん落ち着いていく身体が頭の中も冷やしていく。  そうなると急に恐ろしさが戻ってきた。 「もう……もう、許して……怖いです……」 「自分だけ満足して終わるつもりか? 初夜に夫も満足させられない妻だと言われることになっても構わないなら、これで……」  言いかけてレンドが口をつぐんだのは、ニナが怯えて悲しげに泣いていたからだった。  小さな身体を震わせ、鏡にすがりながらすすり泣く。  それは、今までニナをいじめていたレンドでさえ、これ以上の無体をためらうもので。 「ひどいこと……しない、で……。もう家に帰してください……」  おねえさま、おかあさま、とニナは子供のように泣いた。  そんなニナを、レンドは無言で抱き上げる。 「い、いや……」 「いつまでも床に座っているわけにはいかないだろう。泣くならせめてベッドで泣いてくれ」  再びレンドの手によってベッドに戻されると、ニナは自分の身体を抱き締めて後ずさった。 「次は……なにをするんですか……?」 「今の君を抱いてもなにも面白くない。今夜はこれで終わりだ」 「え……」  ほっとしたのは確かだった。  同時に、触れられるとき以上の恐ろしさを覚える。 「ご、ごめんなさい。泣いたからですよね? もう泣かないから……ちゃんと、頑張ります……から……」 (どうしよう。怖がってばっかりだったから、レンド様は呆れたんだわ。どんな形であっても、私は妻としてちゃんとしなくちゃいけなかったのに)  冷静になればなるほど、違った意味での恐ろしさが胸を満たしていく。  ニナは今夜初夜を成功させなければならなかった。それなのに今、レンドは部屋を出ていこうとしている。 「レンド様、どこに……」 「君のいないところならどこでもいい」 「そんな……」  ニナに言葉を許さず、レンドは部屋を出て行ってしまう。  ぽつんと残され、ニナは手で顔を覆った。 「……っ、怖かった」  いろんなことで頭がぐちゃぐちゃになっていた。  触れられて怖いと思ったこと。初めて与えられた快感に心のどこかで気持ちいいと感じてしまったこと。怖いのに触れて欲しくて、でも逃げたかったこと。  足の間には不快な冷たさが残っている。小さい頃に漏らしたときとは違う、粘ついた液体がニナの秘所を汚していた。 (私、どうしたら……)  レンドは間違いなく機嫌を損ねている。ニナがまともに妻としての役割を果たさなかったがために。  結婚すると決まったとき、たとえパーティーで出会った嫌な人だとわかっても、ニナはレンドを好きになりたいと思った。  そうしなければならない、と思った。  そして今、新しい気持ちに気付いてしまう。 (嫌われるのは悲しい。レンド様に嫌われたくない……)  彼が心底ニナを、ニナの境遇を嫌っているのはわかる。  それでも、そう望まずにはいられなかった。
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