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1st side -Natsume-*Act.6-12☆

 夏目の行為に気付いた萌恵が、慌てて起き上がろうとしてきた。  だが、それを夏目は、「そのままで」と制止した。  萌恵は結局、なすがままになっていた。  不本意だっただろうが、初めてで疲れきっている萌恵に無理はさせられない。  全て終えると、夏目は萌恵の隣に横になった。  頬にかかっていた髪をそっと指で掬い、口角の辺りに触れた。 「辛かったよな……。ごめん……」  急に罪悪感に囚われ、謝罪を口にする。  萌恵は頭をもたげる。  ジッと夏目に視線を注ぎ、「謝らないで下さい」と返してきた。 「私が望んだことですから。それに、謝られたらかえって惨めです……」  萌恵の言葉に、夏目の胸の奥にチクリと痛みを覚える。  まだ、ごめん、と言いそうになったが、何とか飲み込んだ。 「毅弘さんは」  また、萌恵が真っ直ぐに夏目を見つめてくる。  萌恵の眼差しから視線を逸らせない。 「私とこうなって、後悔してます……?」  やんわりと、だがはっきりと訊ねてくる。  夏目は一呼吸置き、「いや」と首を振った。 「今さら後悔なんてしない。むしろ、こうなることを心のどこかで望んでいたんだ。――それより君を、縛り付けてしまうことが怖い……」  そこまで言うと、萌恵を自分の胸の中に埋めさせた。  萌恵は身じろぎひとつしない。  それどころか、夏目の背中に両腕を回し、さらに夏目に強くしがみ付いてくる。 「縛り付けて下さい」  くぐもった声で萌恵が言う。 「私だって毅弘さんを縛り付けるんですから、絶対。好きな人を自分だけのものにしたいって思うのは当たり前でしょ?」 「――そうだな……」  萌恵の強い言葉に夏目は安堵する。  萌恵なら、自分が望んだ通りの答えをくれる。  それを分かっていながら、あえて試すようなことを言ってしまった。
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