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1st side -Natsume-*Act.6-09☆

 そこでようやく、夏目は顔を上げた。  顔を赤らめ、目を潤ませている萌恵。  自分で初めて昇りつめてくれたのだと思ったら、何とも言えない満足感を覚えた。  だが、これで終わりにするつもりはもちろんない。  むしろ、ここからが本番だ。  とはいえ、やはりどこかで最後までしてしまうことに躊躇いも感じている。  夏目は萌恵に軽く口付けた。そして、そっと頬を撫で、小さく口元を綻ばせた。 「そろそろ、いい?」  夏目の問いに、萌恵がわずかに目を見開く。 「無理そうなら、ここでやめるけど?」  心にもないことを重ねて問う。  そんな夏目に、萌恵はゆっくりと頷いた。 「まだ、大丈夫です」  相当強がっている。  本当は怖い、と顔に書いているのに。 「大丈夫そうに見えないけど?」 「だって、夏目さんは全然満足してないでしょ?」 「いや、そんなことはない」 「嘘だ。私でも分かりますもん。それに……」 「『それに』?」  萌恵は少し間を置き、「それに」とはにかみながら続けた。 「私、ちゃんと夏目さんとひとつになりたい……。ほんとの〈大人〉になりたい……」  〈大人〉の意味をはき違えている気がしなくもない。  しかし、自分とひとつになりたい、などと言われてしまうと理性を保てなくなる。 「ここからは、優しくする自信はないよ?」  脅しとも取れる言い回しに、萌恵は、「いいですよ」と答える。 「夏目さんになら、どんなことをされても平気ですから……。私を、壊して下さい……」 「――分かった」  夏目は一度、萌恵から離れた。  そして、ベッドから降り、チェストの一番上の小さな引き出しを開けた。  念のためにと用意していたものの、まさか本当に使うことになるとは考えもしなかった。  だが、結果としてこうなってしまったのだから、買っておいて良かったとつくづく思う。
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