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1st side -Natsume-*Act.4-02

 萌恵は俯き、しばらく考え込んでいた。  だが、そのうちにゆったりと顔を上げ、思いきったように口を開いた。 「夏目さんと……、ふたりきりで過ごしたいんです……」  萌恵の言葉に、夏目は怪訝に思いながら首を傾げた。 「ん? 君と逢う時はいつもふたりだけだったはずだけど?」 「いえ、そうじゃなくて……」  萌恵はじれったそうに続ける。 「――私と夏目さん以外、誰もいない場所で、ってことです」  そこでようやく、萌恵がやたらと逡巡した理由を悟った。同時に、夏目は仰天した。 「えっと……、つまり君は、人気のない場所に行きたい、と?」  動揺している夏目は、たった今、萌恵が口にしたのと同じようなことを繰り返してしまった。  萌恵はゆっくりと頷き、上目遣いで夏目を覗う。 「それは……、ちょっと拙いんじゃない……?」  恐る恐る口にする夏目に、「何故ですか?」と萌恵が不思議そうに訊き返してくる。 「拙い理由なんて何もないと思いますけど? 先週も言ったじゃないですか。私はもう未成年じゃなくなるから干渉されるいわれはない、って。それとも、夏目さん自身に疚しいことがあるんですか?」 「疚しいこと……?」  心外な発言に、さすがの夏目も眉間に深い皺を刻んだ。 「ちょっと訊くけど、君の言う『疚しいこと』とはどういうこと?」  いつになく棘を含んだ言い回しだと自覚していた。  だが、萌恵の言葉に気分を害したのは確かだった。
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