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1st side -Natsume-*Act.3-02

「ま、何はともあれおめでたいことだね。君もとうとう大人の仲間入りをするわけだ」 「はい」  今度は嬉しそうに頷いてくる。  ニッコリと無邪気に笑うと、ハーブティーをゆったりと啜る。  夏目はそれを眩しそうに見つめながら、「それじゃあ」と言葉を紡いだ。 「来週の今日はちゃんと君の誕生祝いをしないとね。プレゼントは――もっと早くに知っていれば用意出来たんだけど……」 「別に構いません」  萌恵は首を横に振り、カップをテーブルに置いた。 「私は夏目さんと一緒にいられればそれだけで充分ですから。こうしてまめに逢ってもらえるだけでも嬉しいんです」 「そう言ってもらえるのは俺もありがたいけどね」  夏目はコーヒーで口を湿らせてから続けた。 「でも、だからって何もしないわけにはいかないだろ? 俺はこの通りうだつが上がらない男だけど、せっかくの記念日ぐらいは君に何かしてやりたい。それでなくても、君は普段からあまりわがままを言わないんだ。俺の顔を立てるつもりで、たまにはわがままのひとつも言ってくれないか?」 「――ほんとに、いいんですか……?」  おずおずと訊ねてくる萌恵に、夏目は、「もちろん」と首を大きく縦に動かして見せた。 「君の願いはどんなことでも聴こう。あ、海外旅行に行きたい、というのはさすがに無理だぞ? こればっかりは時間的にも金銭的にも厳しい」 「そんな無茶なことは言いませんよ」  萌恵は眉根を寄せながら微苦笑を浮かべる。  そして、少しばかり間を置いてから、思いきったように口を開いた。
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