20 / 20

第一章 偶然と必然*第七節-02

(あの人は私を求めてた。そうなると私は……)  ぼんやりと鏡を睨み続けていた時だった。  軽くノックされる音と同時に、「美咲」と、ドアの向こうから呼ばれた。  今朝のような、ヒステリックな感じではない。 「なあにー?」  美咲が答えると、ドアがゆっくりと開かれた。 「お昼食べる前で悪いけど、ちょっとひとっ走り行ってくれない?」  理美の言う『ひとっ走り』は、買い出しのことを指している。  これから何も予定のない美咲は、否定する理由はひとつもなかったから、「はいよ!」と、素直に了承した。 「で、何買ってくればいいの?」 「ちょっと多いから下でメモ書いて渡すわ。もちろん、お金もちゃんとあげるから」  お願いね、と、最後に念を押し、理美はドアを閉める。階段を下りる足音が、微かに響いていた。 「買い物だったら……、このまんまでいっか」  どうせ近くなんだからと、美咲は外出着に着替えなかった。  理美には呆れられるだろうが、何度も着替えるのは非常に面倒臭い。 「ジャージで歩いてる人って結構いるんだし」  そう言い聞かせ、美咲は通学バッグから財布を取り出した。  理美からお金は渡されるが、剥き出しのままで持ち歩くのはさすがに危険だ。 「じゃ、行きますか」  ひとりごちると、理美を追うように部屋を出る。  今朝のパターンと全く同じだった。
スキ!
スキ!
スキ!
スキ!
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

時は大正。母を亡くし天涯孤独となった真珠子の前に美形伯爵兄弟が現れる。彼らは従兄弟だというが……?
4
連載中/20話/30,571文字/4
2017年10月7日
医学博士に恋された女性は、夜の街で精力剤を売る薬剤師さんなのです。
7
2
1
1
完結済/5話/9,800文字/84
2018年4月4日
階段からもつれ合うように落ちた2人の過激で罪な恋。
1
1
1
連載中/14話/65,210文字/40
2018年5月12日
気になる職場の同期に、手作りのシフォンケーキを手渡してみた
1
完結済/4話/6,990文字/47
2018年5月27日
満潮時には海に沈む道の先、陸繋島に一軒だけ存在する洋館には、二人の男が住んでいる。
完結済/20話/25,650文字/0
2018年10月18日
【逆ハー】新しい学校で出会った訳あり男子に振り回されて・・・!?
連載中/8話/6,663文字/0
2018年9月19日