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第一章 偶然と必然*第七節-02

(あの人は私を求めてた。そうなると私は……)  ぼんやりと鏡を睨み続けていた時だった。  軽くノックされる音と同時に、「美咲」と、ドアの向こうから呼ばれた。  今朝のような、ヒステリックな感じではない。 「なあにー?」  美咲が答えると、ドアがゆっくりと開かれた。 「お昼食べる前で悪いけど、ちょっとひとっ走り行ってくれない?」  理美の言う『ひとっ走り』は、買い出しのことを指している。  これから何も予定のない美咲は、否定する理由はひとつもなかったから、「はいよ!」と、素直に了承した。 「で、何買ってくればいいの?」 「ちょっと多いから下でメモ書いて渡すわ。もちろん、お金もちゃんとあげるから」  お願いね、と、最後に念を押し、理美はドアを閉める。階段を下りる足音が、微かに響いていた。 「買い物だったら……、このまんまでいっか」  どうせ近くなんだからと、美咲は外出着に着替えなかった。  理美には呆れられるだろうが、何度も着替えるのは非常に面倒臭い。 「ジャージで歩いてる人って結構いるんだし」  そう言い聞かせ、美咲は通学バッグから財布を取り出した。  理美からお金は渡されるが、剥き出しのままで持ち歩くのはさすがに危険だ。 「じゃ、行きますか」  ひとりごちると、理美を追うように部屋を出る。  今朝のパターンと全く同じだった。
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