16 / 20

第一章 偶然と必然*第五節-01

 不機嫌な感情を抱えたまま電車に揺られ、高校の最寄り駅から歩くこと十五分、ようやく高校に到着した。  それから校門をくぐり、昇降口前まで行くと、うんざりするほどの人だかりが出来ている。  考えるまでもなく、彼らは美咲と同様の新入生だ。 (とりあえず、どこのクラスになってるかだけでも見ないと)  美咲はそう思い、つま先立ちで、昇降口前に貼り付けられたクラス編成の用紙に目を凝らす。  視力には自信があるし、身長も女子にしては高い部類に入る美咲だが、それでも、うじゃうじゃと動き回る黒い群れが邪魔で、自分の名前がなかなか見付けられない。 (もうっ! 自分のクラスが分かったんならとっとと行ってよ!)  美咲は心の中で舌打ちしながら、なおも必死で背伸びを続ける。  ただでさえ、ストーカー男に遭遇して気分が優れない状態なのに、たかがクラス確認をするだけで、ストレスがさらに増大しそうだった。  その時だった。  美咲の肩を、ポンポンと軽く叩く者がいた。 (――誰?)  美咲はあからさまに眉をひそめ、肩越しに相手を睨んだ。 「ちょっとコワッ!」  相手は美咲と目が合うなり、自らを抱き締めるような格好で身を縮ませた。  ストーカー男とは反応が違う。  いや、それ以前に、相手は紛れもなく、美咲と同年代の女子生徒だった。 「なんだあんただったの……」  相手が誰か分かったとたん、美咲の心はいっぺんに和らいだ。  対して、相手――蒼井優奈(あおいゆな)は、「何だと思ったの?」と、窺うように訊ねてくる。 「いや、ちょっとね……」  美咲は苦笑いを浮かべた。 「今朝、チョー腹立つ男に逢っちゃったもんだから……」 「どんな男?」 「見た目はかなりなイケメンだったけどね、性格が、とにっかく最悪! 私よりも年上だろうけど、それにしたってすっごく上から目線だし、ヒトをコケにしてるのがイヤってほど伝わってきたし。とにかくチョー最悪な男だったのっ!」 「あー、はいはい。ちょっと落ち着きなさいな」  しだいにヒートアップしてきた美咲にブレーキをかけようと、優奈は先ほどしたように、肩を何度も叩いた。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!