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第一章 偶然と必然*第二節-03

「あ、美咲」  部屋を出かけた理美が、再び振り返った。 「今日の夜はごちそうを作るから、ちゃんとお腹を減らしておきなさい」 「ごちそう? 何かあったの?」  不思議に思いながら訊ねる美咲に、理美は、大袈裟なまでに大きな溜め息を吐いた。 「――『何かあったの』、って……。今日はあんたが主役でしょ? まさかとは思うけど、今日が何の日か忘れてる、なんてことはないわよね?」 「何の日って、今日は高校の入学式……、あっ!」  美咲も、ようやく理美の言わんとしたことが納得出来た。  そんな美咲を、理美は冷ややかに見つめながら、「鋭いんだか鈍いんだか分からない子ねえ……」と、先ほどと同様に溜め息を漏らす。 「さ、とっとと準備しなさい! 入学早々遅刻なんてしたら、一生大恥をかくことになるわよっ!」  理美の言うことはもっともだ。  美咲はベッドから降りると、理美を追うように階段を下り、下の洗面所へと向かった。
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