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序章 誇りと誓い*第一節-03

 男が再び呪を唱えると、今までの嵐が嘘だったかのように、一気に静けさが戻る。  少年は肩で荒く息を繰り返しながら、男を睨んだ。 「私の力を受けても無事でいられるのは、さすが、と言うべきか」  男は自ら、辛うじて立ち続けている少年の元へと近付いた。 「いい目をしている」  少年は口を開きかけた。  しかし、それを遮るように、男は淡々と続ける。 「かつてのそなたも同じ目で私を見ていた。そう、そなたもあれに恋情を抱いていたからな。だが、そなたとあれは同腹の兄と妹。どれほど望んでも、決して叶うことのない想いだった。そして――そなたは同時にあれを……」 「言うな!」  少年が初めて声を発した。  悲痛な叫びを上げ、苦しげに顔を歪めた。 「お前に言われなくても知ってる! 俺が何者なのか、そして、俺が持つ力の意味も全て……。けど、親父は言った。『運命は自分の力でいくらでも切り開ける』と。  だから俺は、〈過去の俺〉には従わない。俺は俺の意思で戦い、あの娘を、お前に落とさせやしない」  そこまで言うと、少年は、男の反応を窺うようにジッと視線を合わせる。  身体は微かに震えていたが、少女のように、男から逃げようとは全く考えていない様子だ。  むしろ、進んで男に、そして自らに戦いを挑んでいる。
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