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第4話

 アイツの顔が、いきなり俺に近づく。左唇の端に柔らかい唇が、そっと押し当てられた。 「つっ!」 「アンタが奥手すぎるから、私からしちゃったじゃない」  真っ赤な顔した幼なじみが、じろりと俺を睨んだ。 「なっ、はあ?」  されたことが衝撃的過ぎて、キョドりまくるしかない。 「私の世話をしてくれるくせに、いざとなったら及び腰よね」 「だって告白して断られたら立ち直れないし、このままの関係でいたほうが、傍にいられるだろ……」  アイツの唇が触れた部分を指で撫でながら、言い訳がましいことを並べたてた。 「嫌いだったらこんなふうに、ずっと一緒にいないよ」 「あ、うん」 「いやだからね、今が押しどきでしょ! なんでそうなるかな」  アイツは残ったホットドッグをあっという間に食べ終え、ぷいっと背中を向けた。ポニーテールは揺れることなく、静かにその場にとどまっている。  俺の大好きな髪型。可愛い幼なじみの顔がはっきり見えるそれは、とてもよく似合っていた。 「ず、ずっと前から好きで、その……俺と付き合ってほしい、です」  髪型を褒めつつ、心に残るような告白をしようと考えていたのに、緊張感から辿々しいものになってしまった。 (こんなはずじゃなかったのに、なんてこった!)  内心ショックを受けた俺の目の前で、大きくポニーテールが1回揺れるなり、勢いよくアイツが振り返る。 「引っ込み思案なアンタの尻を、私が叩かきゃいけないでしょ。付き合う以外の言葉はないよ」 「え?」  驚く俺をそのままに、アイツの左手が右手を掴む。 「めでたく恋人になったんだから、これからは手を繋いで歩いてね」  頬を染めたアイツが強引に歩き出したので、リードしなきゃと慌てて隣に並ぶ。 「小さいお前が、男の俺を引っ張りながら歩くなんて慣れないことしたら、転ぶかもしれないだろ」  繋がれた手に力を入れて、先を歩こうとするアイツの動きを止める。 「なによ、簡単に転んだりしないってば」 「ケチャップつけて歩いてたヤツが、よく言うよ」 「アンタだってさっき」
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