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プロポーズは二枚の婚姻届とともに * 5 *

「はじめてだね、三葉が俺のこと『琉』って呼び捨てにするの」 「……先生の方がよかったですか?」 「いや。言葉にできない喜びというものがこの世の中に存在するのだな、と」 「へんなの」 「ああ、へんだ。だって、俺のプロポーズを婚姻届で即答してくれた愛しい女性を、永遠に自分だけの奥さんにできるんだぞ。そんな恋人が俺のことを先生としてではなく名前だけで呼んでいるんだから……」 「っ!」 「まだふれられてもいないのに、勃っているの、わかる?」  ギンギンに勃起している琉の陰茎を太ももに感じて三葉はこくりと頷く。 「三葉が欲しくてたまらないって……こんなにも疼いてる」 「うん」 「三葉も……期待している?」 「だって、さっきあれだけローターでイかされたんだもの、もっともっと、奥に欲しいよ……」 「そうだよね……わかった」  三葉に覆い被さった状態で彼女の乳房を手と舌で味わっていた琉は、おもむろに下肢へ手を伸ばし、愛液で湿っている和毛を撫であげて、ぽてっとしたままの秘芽へ自分の屹立を擦りつける。 「ひゃ……っ!」 「俺のコレで、もっと淫らになってくれる? 未来の奥さん?」 「あぁんっ……なるっ、未来の奥さんになる……からぁ」  亀頭の部分にぐりぐりと刺激されて、三葉は官能の深みへと浚われていく。まだナカに挿入られているわけでもないのに、くちゅくちゅという音を奏でられながら蜜口の前後に押しつけられて、身体は勘違いを起こしている。 「ちょうだい……もっとぉ……琉っ!」 「ははっ、淫らでいやらしくて可愛い俺だけの奥さん。このまままた達しちゃいそうだね……ゴムつけないで挿入ちゃう?」 「っ……もう、我慢、できな……」  ナマでしたいと酔った口では言っていたけれど、琉はここで彼女に再度、確認を取る。プロポーズは是と言ってくれたけれど、ナマでしてナカで出すことまでは未だ、承諾を得ていない。  けれど、三葉の身体は琉の分身を求めて疼いている。はやくナカをぐちゃぐちゃにしてと訴えている。 「ったく……ナカで果てないようにすればいいか……挿入るよ!」  琉の分身がナマのまま三葉の蜜口へ侵入し、ぐいぐいと蜜洞を拡張していく。スキンがない状態で、灼熱のような楔を最奥まで一気に貫かれた三葉は、それだけで絶叫し、意識を飛ばす。 「っあ! はぁあんっ――……!」  彼とひとつになった拍子に絶頂へ追いやられ、白目になった三葉は自分の最奥をぐるりと旋回するように抉る琉の分身によって意識を吹き返し、膣奥を揺すられてふたたび身体を痙攣させる。 「すごいキツいね……ナカがふわふわなのに、ぎゅーって俺を包んではなさないなんて、いやらしい三葉」 「ひゃぁん! 止まらな、いよぉっ――……!」  抽挿を繰り返されているわけでもないのに、彼と繋がってすこしナカを掻き回されただけで、こんなにも気持ちいいなんてどうして、と涎を垂らしながら快感に喘ぐ三葉を、愛おしそうに琉が見下ろしている。見つめられているだけで膣内を収斂させて、ひくんひくんと応じる三葉。このまま激しく前後に突かれたら、壊れてしまうのではないかと思うくらい、身体をガクガクと震わせる恋人を、琉は勝ち誇った表情で告げる。 「今日は特別なクリスマスイブ、だものね。今夜はずっと裸のままでいよう。俺の前だけなら、いくらでもいやらしくて淫らになって構わないから。俺とのセックスに狂って壊れちゃってもいい……だからこのまま、俺に抱かれて――」 「――ぁあ、また……もぅ……んぁあ!」  言葉にならない声をあげながら何度も膣奥を貫かれて達する三葉に愛の言葉を捧げつづける琉は、ナカで果てることはしないという誓いを死守すべく、ぎりぎりまで彼女の膣内を堪能する。  どのくらいそうしていたのかわからないけれど、ふたりは飽きることなく身体を貪りつづけていた。  ナカでの絶頂を繰り返し、声を枯らしながらも必死になって琉に抱きつき、あさましく腰を振るう三葉の姿は自分だけの女神だ。 「そろそろ俺も――イくよ。三葉、身体にかけるからね」 「ん……琉……いい、よ。わたしを、汚して?」  三葉のいやらしいおねだりとともに、琉の楔がひくついていた彼女の膣奥を抉った後、外へと飛び出す。  そのまま勢いよく熱い白濁が弾け、三葉の肌を汚していく。まるで自分だけの色に染めるかのような錯覚とともに、琉は多幸感に浸る。 「――ありがとう……すっごく……いやらしくてキレイだよ」 「ん……」  吐精を終えた琉は、ぐったりしている三葉にそっとキスをして、まどろむ彼女を驚かさないように丁寧に身体を清めさせ、ふたたびフリースケットにその美しい裸体をくるんで、自分の隣に眠らせるのであった。    * * * 「――やっちゃった……?」 「それ、口癖?」  時計の針を見れば日付が変わった深夜一時。ダウンライトだけが照らされた室内のベッドの上で、全裸の三葉はパンツ一枚の琉に抱きしめられたまま眠っていたらしい。  夕方四時にココアを飲んで、そのまま婚姻届の話からセックスに雪崩込んで、それで――……  三葉は空腹で目が覚めたのか、性交痛で目が覚めたのかわからない複雑な状況を前に口走っている。 「口癖じゃないです、けど……先生、夕飯は?」 「まだだよ?」 「いや、だって深夜一時ですよ、もう夕飯というより夜食って言ったほうがいいくらいの時間なのになんで食べてないの……」 「三葉を食べたから、俺は満足して一緒に寝ていたんだけど?」 「――ッ!」  ――そうだ、ナマでひとつになって、さんざん啼かされて、最後は外に出して身体にかけてもらったんだ。  ……わたしを汚して、なんておねだりしちゃった。 「お風呂は!?」 「まだ。入りたいなら、これから準備するけど……その前にお腹空いているんじゃない?」  まだクリスマスチキンが残っているよ、と笑う琉に、三葉は苦笑する。脂っこいものよりも甘いものが食べたい気分だ。そういえばデザートはどうしたんだっけ……   「はい、デザート」  琉に声をかけられ、ふい、とベッドサイドに目を向ければ、飲み干したココアのカップがあった場所に、楕円形のお盆が置かれていた。お盆のなかには手のひら大のお皿がふたつ。起き上がった彼が冷蔵庫から持ち出して用意してくれたのだろう。その上に乗っているのは真っ白なホイップクリームがたっぷりデコレーションされた、クリスマス仕様のイチゴのショートケーキだ。 「……あっ!」 「冷蔵庫の奥に隠しておいたの、気づかなかった?」 「うん。てっきり買い忘れたのかと思って、ティラミス作っちゃった」 「さっき冷蔵庫見たらガラスの器に入っているの見つけたよ、デザートまで作ってくれたんだね」 「でも、簡単なものだし……」 「簡単でも俺には作れないよ、なんだか食べるのがもったいないくらい」 「それでショートケーキ?」 「三葉に白いのかけたから、無性にクリームが食べたくなっちゃった」 「…………ばか」  顔を茹蛸のように火照らせて、三葉は琉が持ってきてくれたフォークを片手にケーキのクリームをすくう。自分の精子をクリームに見立てるなんてどうかしてる、と頬を膨らませながら。  三葉の隣で琉もまた、ケーキの上のイチゴをむしゃむしゃと頬張っている。 「だって、ようやく三葉を俺だけのものにできたような気がしたんだよね。ナマでして、外でだけど身体にかけて……ぶっかけっていうの? あれ意外と興奮するんだな……わたしを汚してなんて言われてゾクゾクしちゃったよ」 「い、言わないで……」 「真っ白な俺の子種を浴びた三葉、とってもエロかった。俺が穢したって感じがして……ねぇ、またやっていい?」 「いやです」 「えー」 「先生だって言っていたじゃないですか、今日は特別なクリスマスイブだったから、って。もうイブは終わってます」 「じゃあ、ほんもののクリームならいいの?」  にやりと悪戯を思いついたような琉を前に、三葉は硬直する。これは頷いてはいけないパターンだ。だけどここで拒んだら、またぶっかけの話に逆戻りするのも目に見えている。う、と困惑する三葉を楽しそうに見つめていた琉は、ちょん、と自分の皿からクリームを掬い取り、三葉の鼻のあたまにひょい、と乗せる。 「きゃっ」 「三葉の鼻にクリーム乗せちゃった。食べちゃおうっと」 「んっ、くすぐったいっ……」 「美味しそうなイチゴがこんなところにもあるね。これはさくらんぼかな?」 「ンッ……」  鼻のあたまをぺろりと舐められたかと思えば、そのまま唇を奪われ、舌先で歯列を擽られる。  驚いた三葉は手に持っていたケーキの皿を思わずベッドに落としてしまい、食べかけのケーキをこぼしてしまう。フリースケットを肩にかけただけの状態だった三葉のはだかの胸元に、白いクリームがべったりとくっつく。 「ちょっとせんせ……!」 「こっちのイチゴももの欲しそうにしているね。クリームと一緒にぺろぺろ舐めてあげる」 「ひゃっ、待って……それイチゴじゃな……んっ!」 「勃ちあがっているふたつのイチゴに甘いクリーム……最高のデザートだ」 「あぁ……もぅっ……」  なしくずし的にクリームごとふたたび食べられて、三葉は明け方まで彼に愛されつづけるのであった。    * * *  そしてクリスマスの朝九時。ふだんなら出勤しているはずのふたりは相変わらずベッドのうえにいた……とはいえさすがにイチャイチャしすぎたからか、三葉は彼の腕から逃げ出そうとしている。 「せんせっ、今日は平日ですよ! さすがにわたし仕事休めませんって」 「シフト午後からだろ? 俺は一日フリーなんだし、このまま職場行けばいいじゃないか」 「で、でもいったんアパートに戻って着替えて……」 「必要ないよ。お風呂でもシャワーでも使って。どうせ白衣着るんだしお泊まりの準備してきたなら服の予備もあるんでしょう?」 「う、はい」 「なら問題ないじゃないか。一緒にお風呂入る?」 「……ひとりではいりますっ!」  身体を起こした彼から逃れてバスルームへ駆け込んだ恋人を見送り、琉はくすくす笑う。朝帰りなのは店長もわかっているはずだ。どうせなら職場まで彼女を送りに行くのも一興かもしれない。なんせ彼女は。 「……俺の、奥さん」  そうだ、婚姻届にサインをしよう。してもらおう。  もう区役所は業務をはじめているはずだ。  彼女の気持ちが変わらないうちに一緒に届け出をしよう。それから、それから――……   * * *  来る十二月二十五日のクリスマスの朝、日下部三葉と大倉琉は、入籍した。  歌舞伎町の中央に位置する新宿区役所でふたりは琉が用意したオーソドックスな婚姻届を提出する。  書類は受理され、この日から三葉の姓は大倉となった。  新宿広小路薬局店長、住之江薫とその妻のもとにも報せが届く。  どこか緊張感を漲らせながら迎えたクリスマスイブの休暇を終えた姪が、夫同伴で仕事に戻ってきたからだ。  その第一声が――……   「わたしたち、結婚しました!」 「劇薬博士の溺愛処方」二度目のクリスマス(求婚編)「プロポーズは二枚の婚姻届とともに」――fin.
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