1 / 1

第1話

 昼過ぎから降り出した雪は森の近くの小さな家を静寂の中に包み込む。暖かい家の中ではそれを見越したハンスが早々に仕事を終え、いつもより早く帰って来ていた。  暖炉近くのロッキングチェアーに深く腰掛け、ホットワインを口に含む。もう、明日からはしばらく森に入れそうにない。ならば今日は夜更かしでもしようかとゆったり身体をくつろがせた。グレーテを鎖で繋いだ日から時は流れ、もうふた月が過ぎようとしていた。 『……たし、も……ぁいして、る……』  あの日聞いた消えそうに小さなグレーテからの告白。まさか、と耳を疑って。でも確かに響いたその声に心は歓喜に震え、泣き叫んでしまいそうだった。想いは完全なる自分の一方通行で、繋がれるなんて思ってもいなかった。今、思い出しても胸の奥が熱くなる。  不意に聞こえて来たシャラシャラ響く鎖の音とパタパタ弾む軽い足音。寝室から戻って来たグレーテが一度キッチンへ寄ってからリビングへと入って来る。 「懐炉、ベッドに入れて来たわ」  手にしたハンスお手製木のカップに暖炉にかけたケトルからお湯を注ぎ、グレーテはゆっくりとハンスを振り返った。柔らかな笑顔のその足首に鈍く光るのは黒々とした足枷と細い鎖。ハンスが外そうとしたそれらをグレーテは『着けたままにして欲しい』と断っていた。  何か物言いたげなグレーテの眼差しにハンスがニッコリ笑って両手を広げる。 「おいで、グレーテル。ベッドが温まるまで一緒に飲もう」 「うん!」  直後、笑顔で飛びついて来る可愛いグレーテ。反動で後ろに傾いだチェアーに背中を預け、ハンスは難なくグレーテの身体を抱きとめた。 「危ないよ」  ユラリと戻ったロッキングチェアー。ハンスはグレーテの手からカップを取り上げるとサイドテーブルへ置き、細い腰に手を添えた。  フフッと笑ったグレーテが目蓋を閉ざし、チュッと触れ合ったのは柔らかな唇。自分から飛びついて来たくせに、グレーテは恥ずかしがってすぐに身体を起こそうとする。 「だぁめ」  ハンスは低めのテノールで甘く囁くと華奢なグレーテを腕だけで抱え上げた。 「きゃっ」 「ほら、足、開いて」 「やっ、兄さ……んっ」  自分の身体を跨がせ、左右の足をそれぞれのひじ掛け掛けさせて。  シャランと鳴った細い鎖。グイっと腰を抱き寄せれば布越しに互いの熱が擦れ合う。ビクっと跳ねた腰を押え付け、ハンスはめくれた裾から右手を足の付け根へと滑らせた。 「やっ、だめっ」 逃れようと身じろぐ彼女に構うことなく最奥へ。 「はっ……やーらしいね、グレーテル」 「んんっ」  ピチャピチャと響かせられた淫らな音にグレーテはハンスの首に両腕を回して頭を振った。音が立つほど蜜を溢れさせながら待っていた事をハンスに知られて泣きたいくらいに恥ずかしい。 「僕、まだ何もしてないけど?」 「い、わないで……」  ギュウっと抱き付かれてハンスの口角が上がる。 「こんなになるほど、僕を待ってくれてたの?」  耳介を啄む様にして話すハンスにグレーテはフルフルとその身を震わせ、小さくコクリと頷いた。 「だって……今日早く帰って来てくれるって、朝……」  確かに、朝家を出る前にそう言ってグレーテに深いキスをした。それは雪がひどくなりそうだと思ったからだったのだが。 「可愛い……」  愛おしそうに落とされた甘い囁きにグレーテの中がキュウンと疼く。 「っはぁ……」  思わず漏れた熱い吐息。ハンスはそんなグレーテにクスリと笑うとトロリとした愛蜜を指先で掬い、始まりにある小さな花芯にクルクルと擦り付けた。 「あっ、んんっ」  魔女に躾けられたグレーテの身体はそんな些細な刺激にも蕩けるほどに感じてしまう。たおやかな腰は見た目に反し、更なる刺激を求めて淫らに揺れてハンスを甘い快楽へと誘う。 「……グレーテル」  思わずハンスが愛しいその名を口にした。  このままここで衣服をはぎ取り、めちゃくちゃに抱き壊してしまいたい。暖炉の火に照らされたグレーテの身体はさぞかし美しい事だろう。  そうは願っても、暖炉の火に照らされない場所は凍えるほどに寒い。グレーテの身体を思うとここで無茶をさせたくない。 「ベッド、行こうか?」  ハンスの優しい問いかけに、グレーテが左右に首を振る。 「や、待てな、い……」  もどかしそうに擦り付けられる、しとどに濡れて滑る花びら。柔く熱い秘裂を肌に感じてハンスの奥で欲が蠢く。 「グレーテ……」  少しかすれた低めのテノール。その響きに小さく震えたグレーテがハンスに伸し掛かる様に身体を預けた。チェアーがゆらりと後ろへ揺れる。 「ハン、スゥ」  いつになく甘えてくるグレーテにハンスは堪える事が出来なくて。ひじ掛けから足を掬い上げると前へ戻るチェアーの揺れに合わせて立ち上がった。 「きゃあっ!」  驚いたグレーテがハンスの首に縋りつく。 「そう、そのまましっかり捕まってて」  耳元で甘く囁くハンスがグレーテを抱いたまま大股で歩き出す。シャラシャラと鎖の音を引き連れて、真っ直ぐ自分の寝室へ。  グレーテの入れてくれた懐炉の熱でベッドの中は温められてきてはいたが、素肌をさらすにはまだ冷たい。ハンスはベッドにグレーテを寝かせると自分だけ服を脱ぎ捨て、布団を背に彼女に覆いかぶさった。  すぐにグレーテの腕が首に絡み付いてくる。どちらからともなく重なる唇。啄むようなキスを繰り返し、つんと頂をそらした丸みを大きな手で揉みしだく。 「ん……ふっ……」  零れ落ちるグレーテの吐息に甘く心を溶かされて、合間にハンスがグレーテに囁く。 「愛してる。……僕の、グレーテ」 「ん、ん……」  縋りついてくる小さな身体。触れ合う肌が心地よくて、ただグレーテが愛しくてたまらない。明日の仕事は雪かきだけと都合よく決めて、ハンスは白く滑らかな肌に唇を寄せた。  雪は家を包むように静かに静かに降り注ぐ。白の世界に閉ざされて。長い夜はまだ始まったばかり。  
スキ!
スキ!
スキ!
スキ!
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!

この小説を読んだ人におすすめの作品

「あなたのしたことは、れっきとした触法行為です!」……白雪姫は、ツワモノだった。
1
3
完結済/1話/9,991文字/99
2017年11月5日
宮廷菓子職人とその弟子のある日の出来事。
1
1
完結済/1話/9,988文字/0
4月8日
教師(♀)×元生徒(♂)。触れたいし愛したい、欲をいえばえっちなこともしたい
1
2
3
完結済/5話/9,499文字/0
2017年12月19日
年の瀬、道端に倒れている青年を拾ったら。中華系シンデレラストーリーです。
4
3
2
1
2
3
完結済/6話/9,994文字/194
2018年1月8日
私は今日も、姉の婚約者に抱かれるーーーー
1
1
完結済/16話/15,117文字/12
2018年1月7日
闇社会の王様と女の子の話
連載中/14話/18,592文字/0
1月31日