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…また、知らないところだ。
正確な時間は分からないけど、たぶん舞さんのお家には1日とちょっと、いたと思う。舞さんのお部屋、天井は白かった。
でも、いま私がいるこのお部屋、天井が黒い。舞さんの、お家じゃない。実は、目が覚めてからそれなりに時間が経っている。気がついた時はびっくりしたけど、頑張って記憶を辿ったんだ。
玄関から音がしたと思ったら、知らない男の人が入ってきて、首をトンッてされて……それで、ここ。
「お母さんとお父さん…」
いや、ない。ありえない。お母さんとお父さんが私を心配してるのだけはない。……自分で言ってて悲しくなってる事は無視をする。
そしてもういっこ、気付いた事。私の足首、なんかついてる。それも怪我をしてる方だから、当たって痛い。
私には毛布がかけてあって、少し寒いけど我慢できた。少し右足を動かしてみる。
「っ、…」
やっぱり、何かついてる。がしゃがしゃ音がする。……なんだろう。勇気を出して身体を起こしてみる。その勇気が、間違いだということもわからずに。
「お目覚めか」
「…っ?!」
その人は、普通にその場にいた。寝ている私からは見えなくなる所に椅子を置いて座っていた。びっくりして、思わず飛び起きた。……いろんなところが痛かったけど。
その声は、間違いなく……あの部屋で、私を無理やり……。
「随分と眠っていたな」
身体が、動かない。……怖い。それだけが頭の中を埋め尽くす。
怖い、怖い怖い怖い……! また……、また私はこの人に…? 随分とって、どれくらい寝てたんだろう…? その罰を受けなくちゃいけない? いっぱいかな、たくさんかな……。怖い……嫌、だ………。
「…お前はどうしてここにいるか理解しているか?」
「……い、え」
もう知らないよ。何も知らない。…お願いだから、何も聞かないでよう……っ。
「お前、何が望みだ。いくらで雇われた。とっととはいそうですと口を割ればいいものを」
「……が、…っ…う」
だから、違うんだってば。
「あ、の…」
「…なんだ」
私、じゃない。
「わたし………本、当に…何も、知りません…」
「まだ言うか」
うつむいていた視界のはしで、男の人が動くのが見えた。気づくと、その人は私の上にいた。上半身を起こしていたはずなのに、また寝転んでいて。その人を、見上げていた。一瞬、何がどうなったのか分からなくて。理解した途端に、またあの恐怖が込み上げた。
1回怖いって思っちゃうとダメで、とまれとまれって思うのに震えが止まらない。
「安心しろ、殴りはしない。ただ別のホシがあがってくるまでお前には………そうだな、俺の相手をしてもらう」
「い、」
「いや、と……拒否をできる立場ではない…とは散々言ったはずだが?」
……どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
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