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自分の喉から、汚い声が出た。 理由が分かったのは、お腹に強烈な痛みが響いたからだった。……蹴ら、れた…? 「早く喋った方がいいぞ、肋骨、折れるからな」 なに? なんのこと? 喋る? なに喋ればいいの? 覗いたこと? ……謝れって、こと……? 「ごめ、なさ……」 「謝れって言ってんじゃない」 ごっ 「ぅ、ぐっ!!」 おなか…また、蹴られた。 じん、と響くような痛みで、息が詰まる。この人、肋骨が折れるって、言った…? さ、さすがに骨が折れたら……大変だよ、ね。病院にも行けないし、ちゃんと治らない、かも。 もっと、謝らなくちゃ……。 「ご…めんな、さ、」 「だから、」 がんっ 「ぅえ、っ」 また、思いっきり蹴られた。お腹じゃなかったけど、これも、すごく痛い。たぶん、壁みたいなのに当たったから、背中も痛い。 私を蹴り飛ばして距離が出来たのか、コツコツと靴の近づく音が部屋に響く。 たぶん、私の目の前に来たその人は、私の髪の毛をつかんで言った。 「謝れって言ってんじゃないんだって。早く吐けよ。」 わ、わからない、わからないよ、何言ってるの? 「喋れ」って、謝れってことじゃないの? そうじゃなかったら、わからない。どうすればいいの、私、わからないよ。 倉庫の中覗いたこと? で、でも覗いたって言ってもよく分からなかったし、誰とかも知らないし、どうすれば……いいの…。 「早く」 「い、た…っ」 男の人は、握ってる髪をさらに強く握った。抜けちゃうんじゃないかってくらいに握られて、いたくて……怖くて。 目隠しもされて、両手と両足が自由に動かせなくて、それだけ感覚が敏感になってる気がする。……痛いのが、強い。 「…おい、もう1度言わなきゃダメか。……骨、折れるって」 そ、それだけはダメ……! 「え、っ…と。そ、倉庫の、中……か、勝手に覗いて…ごめん、なさい、」 「ほか」 私が言い終わらないうちに、被ってくる返事。 ほ、ほか……? 他ってなに、他なんてないよ。なに言えば…。 「中で、誰と、誰が、話してた」 ゆっくり、区切るような言い方に、余計に恐怖を感じた。 こ、答えなきゃ。思い出せ、思い出せ私……倉庫の中には誰がいた……? 「お、男の人がたくさん…! いた…。お話してた、のは、白髪のおじさんと、茶色の髪の人……茶色の人、銀色の、固そうな……カバン、もって、た……」 蹴られた痛みで、息がうまくできなくて、上手に喋れない。握られてる髪の毛も痛い。ぎちぎち聞こえる。これ以上、知ってることなんてない。もっと喋れって言われても本当に困る。 作り話なんてできない。してもきっとすぐにばれちゃう。 「……他は」 「…! し、らな…」 あんなに強く握っていた髪の毛をパッと離したので、私は床に顎をぶつけた。その拍子に舌を噛んじゃって、痛い。痛い痛いしか思ってないけど、本当に痛いしかないから、どうしよう。こんなに、痛い事なんて……あるんだ。 次に、風を切る感覚が頬にあたって、聞こえた靴音。男の人は、立ち上がって私の横側にきた。 次の瞬間、何をされたのかよく分からなかった。でも、やってきた激痛に、すぐに理解した。男の人はそのまま、私の足を縛ってるロープを強く引っ張った。 「ひ…っ、い、いた……っ、あぁああぁっ!!」 右足首の傷口に、ロープは綺麗にはまりこんだ。そのままぎゅうーって強く引っ張られて、めりめりって、傷口から音が、した。 「いやぁぁああ、い゛だっ! や、やめ…っ!!」 こんなに大きい声、出せたんだ私。 この部屋、すっごく響くな。私の声が大きく聞こえる。 「やめてやるよ、早く吐けばな」 「し、しらな……っ、本当に知らない……!!」 「すっとぼけるってのかよ。この状況で、えぇ? 」 いたい、痛い痛いいたいいたい痛い痛いいたい…! やめて、痛いよ、どうして…なんでこんなこと……っ。 違う、私がいけない、覗いたから……いけないことしたから…!! これは、当然の罰なんだ…。 それから、どれだけ殴られて、蹴られたかわからない。ロープも、あれからすごく引っ張られた。傷口にめりこむように。途中から意識が朦朧としてて、気付いたら男の人が少し離れてた。 「ボス、どうします。これだけやっても吐きませんし、このガキ、白という可能性も……」 あ。また、ボス。ボス…って、誰、だろう。 「…ひゅー……、ひゅっ……げほっ」 息が、さっきよりも、苦しい。うまく、吸えない。 「……はぁ、代われ。俺がやる」 …あ、別の人の、声。 「……わかりました」 「あれを持ってこい」 「…っは。おい、今すぐ用意しろ」 「……どれだけもつかな…」 新しい、人……。きた…。
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