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「捕まえろ! 絶対に逃がすな!!」 どうしようどうしよう、あぁ、私って本当にバカ。なんでこんな事しようと思ったのよ。見つかったらどうなるか分かんないって最初に考えたでしょう…! 逃げなきゃ、捕まったら……、捕まったらどうなっちゃうの……? 嫌、嫌、嫌……!! お母さんみたいに蹴られる? 髪の毛を引っ張られる?? お父さんみたいにタバコを押し付けられる…? ……謝っても、許してくれないかも…。 好奇心で膨れ上がった興奮がさめて、一気に襲いかかってきた後悔と不安。 でも、そこではたと気づいた。 逃げなきゃ…って、どこに? お家? ううん、お家はだめ。 私は、ここで死ぬんじゃなかった…? あれ…? じゃあ、逃げなくても、いい……? きっと誰も心配しない。お父さんもお母さんも。お父さんもお母さんも私のことを心配しないんじゃ、この世で私を心配する人なんていないよね? あぁ、そうだよ。いやだな、私ってば。何を勘違いして…ははっ、ほんと……いやだなぁ……。 走って走って、向かうあてもなく走っていた足は、気付いたら止まってた。あ、また右足から血が出ちゃうかな。血、ちょっとおさまってたのに。 「いたぞ、あいつだ!」 そうよ、この世に生まれてきちゃった私は、こういう風にされなきゃだめなんだ。 こういうのが…私に、ぴったりなんだ……。 「いいか、傷つけるなよ。慎重に運べ!」 肩を強く捕まれた。突然、首が痛くなって、そこで目の前が真っ暗になった。 「……っ、う…?」 目が覚めた……けど、真っ暗。あれ、どうなってるの? 身体を動かそうとしても動かない。両手は後ろで束ねられてる…? 足も思うように動かないし。 「い、た」 もぞもぞと動いたら、怪我したところに紐?ロープ? が当たっちゃったみたいで、すごい痛かった。たぶん、さっきよりも痛くなってる。…早く消毒したいな。 状況の割にすごく頭が冷静で、自分でも上手に今の状況の判断ができたんじゃないかなって思う。目の前が真っ暗なのは、きっと目隠しされてるせい、かな。初めてだからよく分かんないけど。 じくじく痛い右足に、ロープが当たらないように動かしていたら、扉が開くような音が聞こえた。 「ボス、目が覚めたようです」 ……ボス…? 「どうしますか」 聞こえたのはそこだけ。あとは声が小さくなっちゃって聞こえなかった。 どうしますか……って、あぁ…私やっぱりこの後どうにかなっちゃうんだね……。あんまり痛くないといいなぁ…。でもいっそのこと、すっっごく痛く、思いっきりしてくれれば意識なくなるからそれでも。 ちなみに、殴られて意識がなくなるっていうことは、お父さんから教わった。……教わったっていうか、身をもって学んだ、というか。でも意識がなくなるのって、当たり前だけど狙ってはできない。だから、偶然意識が飛んだ日はあまり痛い思いをしなくていいから、ちょっとだけ、楽。 「起きろ」 「、っ」 声、がこっち、きてる…。 「おい、聞こえているだろう。とっとと身体を起こせ」 さっきと、同じ声。なに、何されるの私。 でもだめ、だめだよ。いけない事したんだから、罰が当たるのは当たり前なんだから、受け入れなくちゃ。 私は言われた通りに身体を起こした。ここがどこだかもわからない。だって気付いたらここにいたんだもの。それに、この人たちに捕まってから何日くらいたったのかな。学校とか、大丈夫かな。無断欠席したら、お母さんにすっごい怒られるのに。 ひゅっ 「…、?」 何かが、空を切る音がした。 「う゛っ……!!?」
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