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私はきっと、いらない子。 ううん、「きっと」じゃなくて、「いらない」んだ。 私には、お父さんとお母さんがいる。でもお母さんのお仕事はとっても大変で、夜に出掛けて、それから何日か帰らない。でも、お父さんはずっと家にいる。 「どうして、どうして私がこんな思いしなきゃいけないの…!」 バシッ 「お前が……お前がいるから……!!」 ドンッ 「お前が生まれてこなければ…!! お前なんて、生むんじゃなかった!!!」 ガシャンッ 小さい時から、ずっと言われていること。「お前がいなければ」「生むんじゃなかった」「どうして私がこんなめに」。叩かれる時に、蹴られる時に言われる。 叩かれるの凄く痛くて、やめてって言ってもやめてくれなくて、どれだけ謝っても、許してくれない。 家にお母さんしかいない時は、叩くのはお母さんだけだけど、お父さんもいる日は、お父さんも叩いてくる。 タバコをじゅってされるから、お母さんよりも怖い。でもいやがるともっとするから、じっとしてるしかない。 「ごめんなさい」「許して」「もうやめて」。この3つは、今まで生きてきた中で1番口に出したかもしれない、なんて。 たまに、学校から帰ると怖い男の人がお家の前にいることがある。真っ黒なスーツを着て、靴も真っ黒。ついでに髪の毛も黒だから、全身黒。 「だから!! 私の娘売るって言ってるでしょう!?」 …え、私? 「貴方の娘さん、まだ中学生でしょう。大した値段はつきませんよ」 「それでも良いって言ってんの! とっとと連れてけよ!!」 …あ、私のことだ。 「……ここまで話が通じないとなると手間ですね。わかりませんか、例えあなたの娘さんを今買ったとして、店に出すのは16を過ぎてからです。そこまでの面倒はみますがそれまでの諸経費は貴方の借金に加算されますよ、という事です」 お店……? あ、私、売られる……? 平気で私を売ろうとする母親が目の前にいる。普通なら怒る所なのかもしれない。国語の教科書では、きっとそういう風に展開するはず。……国語の教科書にこんなお話があるかはわからないけど。 その時は、お母さんがお金を渡して黒いスーツを来た男の人たちは帰った。 玄関に入ると、お母さんが壁にもたれて立っていた。 「……うざいわね、早くどっか行きなさいよ」 「…ごめんなさい」 素早く靴を脱いで、中に入った。 その日の晩、お母さんは私をいつもよりいっぱい、とっても痛く叩いて、蹴った。……涙は、出なかった。 その日、お父さんが帰ってこなかったことだけが救いだった。 それから、スーツの男の人たちはくる事が多くなった。どうして私が帰ってくる時間にいるのかなって、思ったけどそれは言っちゃいけない事なんだ、きっと。 黒いスーツの人達がくる日は、決まってお母さんが酷く私を叩く日になった。いつも家にいるお父さんは、その日は帰ってこない。
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