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第6話

 放課後になった私とクロスは、何時ものようにカフェに寄るとテイクアウトのラテとコーヒーを持ち、帰り道を歩いていた。  街はクリスマスに彩られ、聖歌が流れている。 「綺麗だね…、もうすぐクリスマスなんだね」  イルミネーション越しに見るクロスの横顔を見ていると、クロスは私の肩を抱き寄せた。 「寒くない?大丈夫?」 「…うん」  私は、クロスから伝わってくる温かな体温を感じながら、クロスの言っていた言葉を考えていた。  夜の世界とは、どんなものなのだろう。  それは、いつ、始まるのだろう。 「羽織?どうしたの、寒い?」 「あ、うん。大丈夫。…あの、ね、クロス」 「ん?なに?」  白い息を吐いて、クロスは首を傾げる。この微妙に微笑む顔が、私は好きだった。 「夜の世界って、どんな世界?」 「夜の世界?」 「うん」  立ち止まった私を心配するように、クロスは顔を覗き込んでくる。  クロスは数秒、何かを考えた様に黙ると、頷いた。 「正直いうと、僕にもわからないんだ」 「え…っ」 「ごめん」  叱られた子犬のような顔をして、クロスは俯いた。  私は慌てた。 「ち、違うの、私は、夜の世界で生きていくには、どうしたらいいのか、それが気になって…」 「羽織…」 「それはいつから始まるのか気になって…ひゃ…っ」  クロスは突然私を抱きしめた。私は変な声を上げていた。  街を歩く通りすがりの人が口笛を吹く気配がした。私は、為す術もなくただされるままになっていた。
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