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第3話

 笑い合っていると、ふとクロスが真顔になった。 「クロス…?どうかした?」 「うん…」   浮かばない顔で、クロスはコーヒーを飲む。 「クロス…?」 「君は僕の本当のことを知ったら、変わってしまうかな、って思って…」  たまに見るクロスの思い詰めた表情に、どんな不安があるのか、考えつかない。   それがまさか、私のことだったなんて、思いもよらなかった。   私はクロスの手を握って、その瞳を見つめた。  大きな手。長い指先は、ひんやりと冷たい。 「す、好き…だよ。私、どんなクロスでも」 「羽織…」 「どんなクロスでも、いま、私の前にいるのは、たった一人の私の恋人だよ」 「羽織…それは僕が人間じゃなくても?」 「そうだよ!…え?」  何か、冗談を言われたのか、だがクロスの瞳は真剣にこちらを見ている。 「クロス…?」 「そう、僕は、実は人間じゃないんだ」
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