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誰が為の自慰 第10話

 ――恋人に自分自身を求められることが、こんなにも嬉しいことだなんて。  中途半端だった服をすべて脱がされ、いつも以上に丹念な前戯を施された三葉は、ベッドの上でローションまみれになった自分の身体が鏡の反射と光の加減でテカテカに輝いているのを見て、身体を赤らめている。 「りゅ、う、せんせ……あぅ……そこ、だめっ」 「なんのためにローション買ったと思ってるの? 今夜は三葉くんをいっぱい気持ちよくさせるんだから、おとなしくヌルヌルになって悶えてなさい」 「えっ……はぅ……んっ!」  薬局で買ってきた潤滑用のローションは無味無臭で、ハチミツのようにとろりとしている。はじめのうちは肌に塗られてくすぐったいと笑っていた三葉だったが、彼のいやらしい手が胸や太ももを弄りはじめたことで、余裕を奪われてしまった。  性交用のローションにもメントール系のクールタイプや、唐辛子エキスが入ったホットタイプなど、コンドーム並みにバリエーションが豊富だったりする。琉が使いたいと薬局の棚で指差した商品は、シンプルなものだが、彼に全身をヌルヌルにさせられて身体のあちこちを愛撫されていると、まるで媚薬成分でも入っているのではないかと思ってしまうほどの快感に襲われてしまう。 「さっきはローターでイけなかったんだよね、これだけヌルヌルにしたら胸だけでも達することができるんじゃないかな?」 「っあん……き、かいはイヤぁあ……っ!」  ぴとっ、とローターを乳首にあてられ、ふたたび刺激を与えれば、すでに勃ちきっていた乳首は熟れた果実のような朱鷺色へ変え、三葉の視界をも淫猥に犯していく。  天井と両側の壁の鏡に映る淫らな自分は、愛するひとに押し倒され、ヌルヌルの状態でローターを胸にあてられ、下半身の茂みの奥を指先で探られてひどく感じている。  眩しいと感じたのは鏡の向こうで快楽に溺れる自分かそれとも脳内で軽く爆ぜた絶頂の兆しのせいか……  ローションは下腹部を伝い太ももまでとろりと流れている。琉の手が隠れていた秘芽を見つけ出し指の腹で器用に莢を剥いていく。いままで以上に敏感になった場所へローションのぬめりを纏った彼の指が届き、先端を摘まみながらくりくりとリズミカルに運動する。指紋の凹凸によって昂ぶりを見せた突起は薔薇のような花弁の間からぷくりと膨れ上がり、いまにもはち切れんばかりに真紅に染まっている。 「ひゃ、ぃぁ……せん、せぇっ……それ、ダメぇ――……っ!」  ローションで濡れた小刻みな彼の指先に翻弄され、甲高い声をあげれば、胸元で振動していたローターが離れ、溢れんばかりの蜜を称えた壺口へと押し込まれてしまう。 「んぁああああっ……!?」 「膣奥までずっぽり入っちゃったね、イヤらしいなぁ」 「せ、んせ……ぁあああ……も、壊れ……」 「このまま一度、膣内でも達して。俺が入るのはそれからだ」  壊れるものか、と笑いながら彼女を絶頂に留める琉の前で、三葉は生理的な涙を浮かべ、甘い吐息を漏らす。子宮口を叩きつけるローターを押し込まれた状態で秘芽に口づけられ、彼の舌先がヌルヌルの陰核を味蕾で擦らせた瞬間、一気に血の巡りが早まって――……! 「あぁんっ――……ぇっ……むりっ、もぉむりぃっ……!」 「長い足の爪先がピンって伸びているね、可愛い……もっともっといっぱい達って。それでも足りない、気持ちよくなりたい、っていやらしく俺を求めて」 「ひ……ぁあんっ……っ」  うっとりした表情で白目を剥いて絶頂に至る三葉を見守っていた琉は、涙を浮かべる彼女にキスをして、ローションまみれの身体を一撫でする。すでに絶頂に達した彼女の身体はびくびくっと反応し、目に涙を浮かべたまま荒々しく息を乱す。 「――も……これ、とってぇ……」  弱々しい懇願を前に、わかったよと琉は頷き、膣奥に突き刺さらんばかりに入っていたローターを抜き取り、スイッチを切る。とたんに振動が途切れ、震えっぱなしだった三葉の身体がベッドに沈む。  そこへ、コンドームを装着した彼の分身がすかさず入り込み、貫かんばかりの勢いで膣奥まで到達する。細いローターとは異なる、太くて脈動する剛直に蜜壁を擦られた三葉は、脳裡で火花を何度も散らし、きつくきつく彼を締め付けていた。 「やっば、最高すぎる……三葉のナカ」 「はぁ……ぁ、琉せんせ……太くて、硬いの」 「これでも耐えてるんだからな、すぐにいかないように……っうごくぞ」 「う、んあっ、あんっ!」  蠕動運動を繰り返す彼の背に手をまわし、しがみついたまま、三葉は嵐のような快楽に身を委ね、嬌声をあげる。何度も何度も身体を重ねて気持ちよさを体感しているにも関わらず、今夜のまぐわいは趣向を変えたからなのか、互いに熱が冷めやらない。  軽く何度も達している三葉に追い打ちをかけるように、彼の楔が濡れそぼった蜜洞を行き来する。動かれる都度感じるむず痒さと甘い疼きに溺れるうちに、膣道を締め付けていた彼女は恋人の努力をあっさりと打ち砕いていた。 「ダメだ、出るっ……――!」
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