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第40話

 低い声が呪文を唱える部屋の中央で、真はマリィと膝立ちで向かい合っていた。  真もマリィも生まれたままの姿だが、マリィの首には金色の首飾りが掛けられている。  その首飾りは人間界へ戻った直後、真がマリィに渡したものだった。  男女が交わっている画が四面に描かれた祭壇を間に挟んだ向こうには、紫色のベールを頭から被ったロザリンド師が金の錫杖を手に立っている。師が錫杖で床をトンと叩くと、呪文を唱えていたものたちが一斉に立ち上がった。彼らは皆、仮面をつけて黒いベールを頭から被っている。再び師が床を叩くと、白いベールを被ったリーシャがやって来て、香炉を揺らしながら師とマリィたちの周りを歩く。柔らかな甘い香りが辺りに立ちこめた。  師が澄んだ声で歌うように呪文を唱え、杖で床を二度叩いた。  真はマリィと向かい合ったまま、ゆっくりと立ち上がる。  マリィに手を差し出すと、彼女は小さな手を差し出してきた。  白い手を取ったまま、真は慎重に祭壇の上へと上がる。  真が台の上に上がった後、続いてマリィが上がってきた。  彼女を出迎えるように両手を広げると、嬉しそうな顔をして抱きついてきた。  人間界へ戻った後、師から聞かされた話をマリィにすると、彼女はほっと安堵したような顔をした。  それからすぐに戻ったセーレから儀式を明日執り行うことになったと聞かされて、真は目が点になった。 『仕方がないだろ。明日が満月なのが悪い。王はすぐさま祭壇がある部屋を掃除させ始めたし、そうこうしているうちに師と師の弟子達がぞろぞろやって来たものだから、城は大騒ぎだ』  セーレから苦笑を向けられたが、返す言葉が見つからず真はついにらみ付けた。にらみ付けられてしまったセーレは、やれやれといった風に呆れた顔をしたけれど、すぐにその表情を和らげた。 『これで俺の役目は終わり。あとはお前に任せるから、マリィを頼んだぞ』  明日の儀式を執り行えば、それまで血の盟約によって縛られていたものが解けるという。ということは、リーシャの破瓜の儀式をセーレが行うことになるのだが、ここで予想外のことが起きた。 『血の盟約は結ばず、伴侶になるつもりだ』  セーレから真顔で言われたとき、真とマリィの表情は両極端だった。  真は驚きの余り目が点になり、マリィはほっとしたような顔をしていた。  セーレが何かにつけてリーシャの側にいるものだから、その気持ちにマリィは気づいていたらしい。それにリーシャがセーレを一人の雄としてみていることも分かってはいたが、血の盟約がある以上どうにもできずにいたという。マリィと真の儀式が終わったあと、セーレはリーシャを伴侶と定め儀式を執り行うと話していた。  セーレが『店じまい』をするからと部屋を去った後、真は師から渡された袋を取り出した。マリィとともに中身を確かめてみたところ、肉の実の他に手紙が入っていた。師が認めたと思われる手紙には二つのことが記されていた。  ひとつは儀式を執り行った後、すぐに果実を食べること。そうすればマリィは人間になる。  そしてもうひとつは、見覚えのある人間の名前とその願いだった。  マリィが人間になった場合、人間界に馴染むように環境を整える必要がある。その為に必要なのが『以前から付き合いがある友人』だ。手紙に書かれている女性は、その役目を果たすのに最適だと書かれていた。その女性と以前から付き合いがあったことにするために、彼女の記憶や環境を操作することになる。その代わり、相手の願いをひとつだけ叶えることになっていた。 『まあ、あいつになら殺されてもいいが、やり残していることがあるから死ねないけどな、まだ』  多分彼が望んでいることとは、手紙に書かれている女性の願いと同じだろう。真はそう確信した。マリィが人間になることで、大事な人が望むものが手に入ると思ったら、不思議な気分になったものだった。  低い声で歌うように呪文を唱えているのは、師の弟子達だ。リリスと彼女の夫が喜び合いながら抱き合う絵が描かれた祭壇の上で、真はマリィを抱いたままゆっくりと背を倒す。落ちてきた赤い髪を払いのけ、白い頬を撫でてやると、マリィがふっくらとした唇を押しつけてきた。  真は、マリィの背に添えた手を少しずつ下ろす。なめらかな肌の感触を確かめるように、ゆっくりと。  それと同時にマリィの手が首から胸へと下りていった。そして、硬くなりつつある股間が温かいものに覆われる。 「は……っ」  真は目を細めて息を漏らした。温かい手が肉茎を握ってきたからだ。首筋に温かいものが掛かる。すぐにちゅっと音を立てて吸い付かれた。マリィが積極的なのは今に始まったことではない。初めて体を交えたときは、積極的というよりも無理やりだった。それを思い出し、真はマリィの指戯を味わいながら苦笑する。  やわく握られると、柔い快感が駆け上がってきて息が上がる。緩められると、じわじわと疼きが広がりだした。それはまるで浜辺に静かな波が押し寄せるようなものだった。疼きが押し寄せる度に、肉茎の内側からじわじわと硬くなる。内側から張り詰める力が増したせいなのか、マリィの手の動きがはっきりと伝ってきた。それに耐えかね、真は熱っぽいため息を漏らす。  しっかり硬くなったのを見計らったのか、マリィが怒張から手を離す。  そして根元に巻かれている赤い髪に指を伸ばした。 「これを外してあげる」 「え?」 「もう、これはいらないから」  真が息を弾ませながら聞き返すと、マリィから笑みを向けられた。マリィがそれを指でなぞりながら、何やら唱えた。すると、ずっと根元に存在していたものがすっと消え失せたらしく、縛めが消えた。  するとマリィが突然馬乗りになった。  真は目の前の光景に既視感を覚えてしまい、苦笑しながら彼女を見上げる。 「夢でもこうだったな。そういえば」 「夢? 私が会いに行ったとき?」 「そう、体が全然動かなくてさ。あれよあれよという間に襲われてた」  わざと嫌みったらしく言ってみせるが、マリィは全く動じていなかった。  そればかりか、跨いだ所に手を差し入れて、真のものを摩り始める。 「うあ……っ」  すっかりいきり立っているものを扱くように摩られて、真は声を漏らしながら背をのけぞらした。先端から溢れた粘液を塗りたくられているようで、ぬちぬちと音がする。小さな手が這い回る動きに合わせ、腰が勝手に動き出した。  やがて見上げる先にいるマリィが、体を少し前にずらした。そのせいで、彼女の女陰の感触が薄い皮膚越しに伝ってくる。潤みを帯びた花びらが肉棒をすっぽりと包み込み、彼女の熱を伝えてくれる。  マリィの腰の動きに合わせて、ぐちゅぐちゅと音が立ち上がる。それだけでなく、なまめかしい声と吐息が聞こえてきた。真は浅い呼吸を繰り返しながら、跨がったまま快楽に耽る女に熱っぽい目を向ける。 「マリィ……」  つぶやきにも似た小さな声で彼女の名を呼んだ。するとそれまで目を閉じていたマリィから、黒い瞳を向けられた。彼女も昂ぶってきているのか、目がすっかり潤んでいる。その目と目が合ったとき、真は衝動的に腰を突き上げた。 「んあ……っ!」  ピンク色に染まりつつある肢体が上下に揺れた。真はとっさに、マリィの腰に手をまわし、体を起こす。とっさに真の体にしがみついたマリィが、円を描くように腰をゆっくりと動かし始めた。そしてすっかり淫蜜に濡れた勃起を花弁の奥に埋め始める。  ざらざらとした肉壁に迎えられ、肉棒が更に奥へと飲み込まれていく。細かなヒダがびっしり生えそろった場所に着くとヒダが吸い付くようにくっついてきて、その感触に真はブルリと体を震わせる。そしてついに、狭まった場所へ着いた。柔らかな肉の感触が敏感な鈴口から伝わってきたとき、真はマリィの体をぎゅっと抱き締める。  この先へ行くには、マリィを昂ぶらせないとならない。真はマリィにキスしながら、彼女の豊かな乳房を揉みし抱く。始めの頃こそ固かったそれは、いつの間にか柔らかくなっていた。今ではすっかり馴染んだものをやわやわと揉みながら、指先でいたずらをし始める。 「んん……っ」  乳房をこね回しながら指先で乳首を掠めてやると、マリィがくぐもった声を漏らした。指で立ち上がりかけている乳首を挟んで弄ってやると、なまめかしい声を漏らしながら、腰を揺らす。それをしばらく続けているといきなり何かが当たって、マリィが腰を揺する度コリコリとした感触が走ってきた。 「ああ……ん」  それにぶつかった瞬間、マリィは体をのけぞらしながら小刻みに震えだした。ぱんぱんに膨れ上がった勃起を包み込む肉壁が、一斉に締め付けてきたものだから、真はぐっと歯を噛みしめた。  真がマリィを抱いたままじっとしていると、彼女の肉ヒダが怒張に絡まりついて扱いてくる。真が腰を動かさずとも、マリィは腰を動かしながら、いいところに勃起が当たるようにしているのだ。結果マリィは絶頂に向かっているようで、その証拠に体がほんのり光を放っている。 「いいっ! 真! ああ……っ!」  腰をいやらしくくねらせながら、マリィが叫ぶ。それまで竿を扱いていた肉ヒダがさらに肉茎に絡まりついてきた。マリィの絶頂が近いことに気づき、真はマリィの股間に手を差し込んだ。  すっかりふくれあがった肉粒を指で擦り上げてやると、勃起に絡まっていたヒダが射精を促すように蠢きだした。マリィはすすり泣きに近い声を漏らしながら、真の名前を繰り返し呼んでいる。それを聞きながら、真はずっと押さえ付けていたものをマリィの体の奥に放出した。するとマリィの体は眩しい光を放ったのだった。
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