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第10話

 柔らかな手が、いたずらを容赦なく仕掛けてくる。  いきり立った勃起を柔く握られるたびに、真は苦悶の表情で声を詰まらせた。 「ああ……。どんどん、いい匂いになってきてるわよ」  甘い声とともに柔らかな吐息が耳に掛かったとき、くすぐったさから一瞬気が緩んだ。 「う……っ」  慌てて口を閉ざしたものの、手遅れだった。声が漏れると同時に、こわ張った体から力が抜けていく。  すると、硬直しきった陰茎を(もてあそ)んでいた手の動きが止まった。 「あら、もう我慢できないの? 駄目ねえ……」  マリィがくすくすと愉快げに笑いながら、くっきりと筋が浮き上がっている肉竿から手を離した。  その細い指先には、(ぬめ)った光沢を放つものが付いている。 「もう(よだれ)、出てるわよ」  マリィは、濡れた指先を真の顔に近付けた。ゆっくりと開いた指の間に、透明な糸が緩い弧を描きながら伸びる。それを真に見せつけるようにしたあと、何を思ったのかいきなり舐め始めた。 「おいしいわ」  赤い舌で指先を舐めたあと、マリィはうれしそうな顔を真に向けた。  そして、真を見つめながら先走りが付いたものを、ぱくりと口に含んで舐めとり始めたのだった。  男の先走りは苦いと聞いたことがある。だから、そう多くはないが口でしてもらったとき、嫌な顔をされたことがあった。真はそれを思い出し、怪訝な表情でうれしそうに指をしゃぶるマリィを眺めていた。 「うまい、わけ、ないだろうが。そんなもん」 「そう? とってもおいしいわよ?」  唇から指を引き抜いたが名残惜しげに舐めるマリィを見て、真は呆れた顔をする。すると、マリィが体を起こした。急に体の向きを変え、むっちりとした両腿が真の頭を跨ぐ。肉付きの良い臀部と陰部がいきなり眼前に迫ってきた。  アンダーヘアがないから、当然丸見えである。ふっくら盛り上がった陰唇も。赤みを帯びた女陰も。それに、うっすらピンク色の菊門や、ぷっくりと膨らんだ陰核もしっかり見えていた。今までこれ程至近距離で見たことがないだけに、真は無意識のうちにマリィの秘所を凝視してしまう。  きれいなピンク色の蜜口は、透明な淫蜜でしとどに濡れていた。  ふっくらとした花弁の奥を見ていると、そこからじわりと新しい体液があふれ出す。  粘り気を帯びたものがとろりと粘膜を伝う様を眺めていると、上擦った声が耳に入ってきた。 「発情した男の匂いがする。それにこの匂いも、たまんないわ……」  嫌な予感がして、声がした方へ顔を向けようとしたそのときだった。  いきなり勃起を掴まれた上に、張りつめた肉竿の先端に突然柔らかいものを押し付けられたものだから、真は驚きの余り顔をぎょっとさせる。 「なっ、何してんだよ! って、うぁ……っ!」  ぱんぱんに膨れ上がった陰茎が、熱くて柔らかいものに突然包まれた。痺れるような快感が突如として襲い掛かってきたものだから、真は顔を顰めさせ声を詰まらせる。するとざらりとしたものが、敏感になっている雁首のあたりを這いまわる。 「く、う……っ!」  鋭い快感が脳天まで突き抜けた。眉間にしわ寄せながら真が呻く。這う動きにあわせて、体が勝手にびくびくと痙攣した。断続的に襲い掛かる快感に耐えていると、マリィの髪で縛られた根本が急に熱を帯び始めた。その直後、強い力で吸い付かれてしまい、真は無意識のうちに尻をこわ張らせてしまう。  このままでは、昨夜と同じだ。  今まで味わったことがないような快感を味わった替わりに得たものは、一方的に責められて果ててしまった虚しさだった。  別れた妻のことといい、突然の異動といい、マリィのことといい、それらは決して真が望んだことではない。離婚を迫られたときも、突然異動を言い渡されたときも、自らの意思を無視して勝手に事が進んだことに怒りを覚えたものだった。  そして今、その時々と同じように悔しさを覚えているけれど、体が思うように動かせない以上、昨夜と同じようになってしまうだろう。どうやっても立ち向かえない存在がある以上、何もできないまま受け入れるより仕方がない。それがどうにも、悔しくて情けなかった。  歯がみしたいのをこらえている真などお構いなしに、マリィは勃起をほおばりながら、音を立てて舐めしゃぶっている。悔しさと怒りを感じながらも、肉竿に絡みつく舌の動きや唇が這う動きに快感を覚えているのも、また事実だった。  やり切れない思いに苛まれながらも、責め立てられているせいで体は快感を拾い上げている。  快感が積もりに積もって、じわじわと射精感が迫ってきているけれど、それを真は堪えていた。  それは何も、マリィから言い渡されたから我慢しているわけじゃない。  彼女が望んでいるとおりに、射精したくなかったからだった。 「味が変わってきたわ。そろそろかしら……」  それまで苛み続けた舌と唇が離れた直後、マリィの声が聞こえてきた。真は気を引き締める。すっかり火照った体の熱とそれまで与えられ続けた快感のせいで意識は溶けかけているけれど、わずかに残っていた理性を奮い起こした。だが、その理性だって強烈な快感の前では何の役にも立たないことを、真は昨夜思い知っている。  だが、何もしないで受け入れるより、多少であっても抗った方がマシだ。昨夜はそれまで味わったことがないほど強い快感が一気に押し寄せてきたせいで、耐えきれなかっただけだ。その度合いを知っているから、多少は堪えることもできよう。真は体をこわ張らせ、身構えた。 「じゃあ、頂いちゃおうかな」  そう言った直後、マリィはいきり立った剛直に跨って、真を見下ろした。今にもはち切れんばかりに膨れ上がった怒張に、すっかり熟した柔肉を押し付けられた。どくどくと脈打つ薄い皮膚から、ぬるりとした感触が伝ってくる。そのせいか、更に体が熱くなった 「我慢してくれたお礼に、気持ちよくしてあげる」  真の腹に添えていた手がするすると上がり、硬い胸板にたどり着いた。細い指先が乳首に伸びて、それをいたずらにつまむ。その感触を味わうように、マリィは乳首を弄び始めた。 「ふふっ。硬くなってきた。ここで気持ちよくなるのは、女だけじゃないの。男だって気持ちよくなれるのよ」  指でつままれながら軽く捩られているうちに、今の今までへにゃりとなっていた乳首が、徐々に硬くなってきた。鈍い痛みしかなかったはずなのに、そこから伝うものが変化し始める。疼きに似たものがし始めただけでなく、内側から張りつめているような気がして、真は自分の体のこととはいえ、それまで味わったことがない不思議な感覚に戸惑ってしまう。それまで女に乳首を責められたことがないからだ。  勃起した乳首をくにくにと嬲られている間に、マリィの細腰がゆるゆると動き出した。女陰を濡らす淫蜜をこすりつけられて、くちゅくちゅと粘着質な音が鳴る。肉茎を濡れた花弁に挟まれたまま、敏感な裏筋を責め立てられてしまい、真は体をのけ反らせ声を詰まらせる。 「う……っ!」  乳首から伝わる疼きと肉竿から伝う快感が螺旋のように絡まって、より強い快感に変わる。  一気に射精感が押し寄せてきたそのときだった。膨らんだ亀頭を、柔らかい肉が包みこむ。  先端から痺れるような快感が、脳天まで一気に突き抜けた。真は顔を顰めさせる。 「耐えに耐えたせいかしら。昨日より大きくなってる。でも、これからよ。本番は」  一気に押し寄せた強烈な射精感のせいでぼうっとなっている真の耳に、彼女の声が入る。  それに気が付き、馬乗りになりながら己の半身を咥えこんだ女を見上げてみると、蠱惑的な笑みを向けられていた。
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