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GREEN FIELDS ③

 ・・・間違ったんだよコイツ  言うな! 『うわっ ナニをスル!?』  突然羽交い締めにされた 気持ちよく昼寝をしている時だった。 オレたちは危険なモノには当たり前、興味のないモノへも誘われたりも近付かない。 この長い触覚は、そんなモノにカラダが触れないようにする為の、物差しのようなものだ。 オレたちの間ではソレを、皮肉に使われる事もある。 ”アイツの触覚は長い”  つまり、”臆病者”という事を言っている。 もしも触れてしまうくらい近付く事があるのなら、それは自分の”獲物”と見た時か、”交尾”の時…… 《《・・・・・》》  腹を空かせた野蛮な輩、もしくは女神を巡っての戦いが、オレの気付かぬうちに勃発したのだろうか? けど勝利の先に待っている女神なんて、その時どこにも見当たらなかった。 と 言うか、ダレもいなくオレしかいなかった…… やはりコイツはオレを食う気でいるのか!?  それが…… 《《・・・・・・・》》 『テメーナニをスル!?!? え? ええ!?  チガウ! ソコはチガウって!!』 《《・・・・・・・・・・》》  オレの翅にはしっかりとコイツの…… オレは泣きたくなった ((こんなコトの為に生まれたんじゃない)) 夏が終わっても、冬が目の前に来ても、カエルが来ようがヘビが来ようがどうでもいい…… もうこの葉っぱから動かず一生をここで過ごそう…… ”ナマケモノ” そう言われたって構わない その時のオレは生きる気力を失っていた。 それでもせっかくこの世に生まれて来た事を思うと、悔しさで涙が止まらなかった。 コイツの今し方のアレがジャマして、オレの鳴き声は最悪だ…… 《《・・・・・》》  こんなオレのタマゴを産んでくれるジョシなんて、きっと現れはしないだろう…… 終わった……  オレは……   オワッタ……  キリギリスさん……  しばらく泣きじゃくっていたが、いつの間にか眠っていたんだろう。 仲間の求愛の音楽が聞こえて来て、目が覚めた。 それは今まで聞いた中で、一番美しい翅音だった。 ああ…… オレもあんな音を出してみたかった……  一生を独り身で過ごし、幸せそうな仲間たちを横目で見るだけの人生。 子孫を残す楽しみが消えた人生。…… まるでそんなカナシミを忘れてしまえるような、輝くような求愛の音楽……! もしもオレがジョシなら間違いなく 『オマエのタマゴをオレに産ませてくれ』 そう言うと思う。 《《・・・。》》  ダレだ!! そんな素晴らしい音楽を奏でられるオトコ! そして、求愛されてるジョシとは、一体どんな素敵な女神なんだ!? 《《。。。。。》》  その、”女神”とは!? 《《。。。。。。。》》  その、 ”女神” とは!! 「ゴチョーないのミナさま タイ・・ヘンッ おさわがせ」  《シッッ!!》  ”オレ”だった…… 《《 ・・・…… 》》 『ねえ君!俺とトモダチになろうよ!さっきはごめんね!』  それからオレたちは一緒にいるんだ。 《《 ………… 》》
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