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エッちゃんがいっぱい(僕らの昆虫採取N&O) ②

さて、どうしよう……  歩きながら空き地の脇を通る度にここがいいか、あそこの空き地がいいかと迷い、家に着いてしまった。迷っていたのは、放す空き地にではなかったのかもしれない。 物置から昔使ってそのまましまわれていた、虫ケースを出した。 その中にこの小さな生き物と少しの野菜を入れ、昆虫に詳しくない俺は机の上にそれを置いて、パソコンの画面とそれを交互に見た。 これか…… 画像付きのありがたさだ。この虫の正体が分かった。 そしてメスだという事も・・・・・ よし、この子の名前は エ ッ ち ゃ ん にしよう!!  それから”エッちゃん”と俺の生活が始まった。 なんてかわいいんだ 俺のエッちゃん (クスクスクス)  今まで昆虫と接して来なかったわけじゃない。 けれどこんなに自分の至近距離に置いたのは初めてだ。 俺のエッちゃんはどうやら夜行性らしく、俺が帰宅する頃から活動を開始する。 そして慣れて来た頃、彼女は俺のそばまで来てくれるようになった。 それはまるで 「オータくんおかえり 私もさっき起きた所なの」  と言ってるようだ。 彼女を机の上に置いたままでいた。 俺が彼女を見ているように、彼女も俺を見ている。 そして嬉しそうに触覚を動かすんだ。 君の事はちゃんと俺がお世話してあげるからね! 大丈夫、安心して! ((エッちゃん かわいいね……)) ((オータくん……スキ……)) プーーッ クスクスクス……  まるで俺たちは心を通い合わせているようさ。 俺が虫ケースを覗くようにすると、彼女は来てくれる…… ああ・・・なんてかわいいんだ 俺のエッちゃん・・・ こんな、俺だけのエッちゃんがいるなんて事は、  虹生にはナイショだ。 それがある日 「わー どうしたんだ旺汰 へーこんな趣味あったけ?」 「やめろ!! エ ッ ち ゃ ん  が驚いて死んでしまう!! ・・・」 と いうわけだ……。   そして言われた 「キッッッ   モッッッ !! 」 キモ過ぎて、もはや他言出来ないレベルだそうだ そんなまで言うな……  だって虹生…… だって……  虹生…… 俺のエッちゃんは、こんなにかわいいんだぞーーーーー!! 「エッちゃんはかわいいけど……」 けど ってなんだ虹生…… 「旺汰……  大丈夫か?」 なんだその心配は 「俺は至って健康だ」 このやろう この気持ちをお前に理解させるつもりはなかったけどな 「今度の休みは晴れたら月琴公園に行こうと思ってる」 「なんで?」 「”俺”を見つけに行くんだ この子……”俺のエッちゃん”の為に…… この子は女の子だ」 「!!」←ナナオ  俺の思い付きが彼のスイッチオンになるとは思いもしなかった。 それまで”キモいキモい”しか言わないでいた彼は、急に噴火した火山の火柱のように立ち上がり、こう言った。 「ズルイぞ!旺汰!!」 そして休みの日、俺たちは揃って虫がたくさんいそうな月琴公園に向かった。
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