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ノスタルジック・ユイヒ(昆虫採取) ④

「ハッ 思い出したぞ ソイツの名前は確か”ユカリ”… ちなみに”ヤロー”だ」 「ユカリ? オトコ? 珍しいね…」 「……そう言えばこんな事があったんだよ ソイツだったんだな……」 「あれ?君、今向こうに走って行かなかった?」  昼休みにエッちゃんと図書室にいた時だ。 突然”俺のかわいいエッちゃん”に話し掛けて来た”不審者”が現れた。 (( ”不審者”… )) (ま…藤井にはエッちゃんに近付くオトコはみんな”不審者”だろうよ……) (エッちゃんにしてみたら藤井こそが一番アヤシクてヤッカイだったと思うがな) (ブフッ… オータ それでも恵風は毎日ボケらっとしてたぞ) ナンだコイツは…  俺はソイツの個人情報をまず手に入れておく必要がある。 もしもに備えてどんな小さな事でも見落としてはいけない。 エッちゃんの為に…… 『・・・・・』 [月船(つきぶね)ヒカリ] エッちゃんはキョトンとして首を振ってる 「ヒカリ どうしたの?」  同じ顔をしたオトコが本棚の後ろから現れた 俺の方こそビックリだ。 この後から現れた方が多分その”ユカリ”だ。 君らのようにまるで双子のように同じ顔をしてるのに、 [琴屋(ことや)ユカリ] 苗字が違った  苗字が違うのに妙な事をソイツは言った。 「あはっ この子も俺たちと同じ”双子”なんだよ… この子は女の子だけどね……」 「なんだ そうか……ユーレイを見たかと思ったよ」 「ユーレイなんて信じるなよバカだなあ」 「って、すごく横柄な態度でそのまま行っちゃったんだよね…… 思い出したよ エッちゃんからその”ユカリ”ってオトコの話なんて一度も聞いた事ないぞ? その無礼な双子は今どうしてるんだろう…… 校区が同じで下校中の結日を追い掛けて来るくらいだから、もしかして近所に住んでるの?」 「!… 藤井!」 「キケンだぞ エッちゃんがヨソのオトコに……!」 「まあまあ 落ち着け 話はまだ続く」 その”おーい”と俺を呼んだユカリは 「今日、行ける?」 「?…」 「”虫採り”だよ やっと晴れたから……今日、行けない?」  恵風とコイツは何か約束してたらしい ほら、こんなふうに見掛けがそっくりだからって、自分には関係なかった事が突然自分の事のようになってしまう…… 「あ… ああ……うん…」 「俺ね ちょっとコッチの家を数日……どれくらいかな……とにかく空けるんだ  それに紛れてこの前言ってたアレ……今日君に渡してもいいかな……」 「え…」 「……向こうに行く前に君に会えて良かった   ……行ける?」  恵風とコイツがどんな話をしてたのか分からず、俺は返事に困った。 いつものように”俺は恵風じゃない” それを言えばいいだけなのにその日はどうしてか…… 「う… うん」 「じゃあさカバン置いたらあの空き地に来て… ね! すぐに行こう!日が暮れちゃう」  どうせ瑞月たちとまたゲームだ 俺がいなくてもどうにでもなる 恵風と俺を間違え、コイツは恵風に何を渡そうとしているのかそれが気になった。 コイツの切羽詰まった様子に圧されてたっていうのもある。 問題はヤツが言った”あの空き地” その空き地が分からない。  恵風がバッタを捕まえた話を思い出した。 俺はそこに目星を付けて、そこでヤツと会わなければこの冒険を終わりにしようと考えた。 恵風が帰って来る前に 顔を合わす前に家を出なければ もうひとつ…… コイツが”恵風”と会う前に……… 「お前のさっきの話を聞いてなおさら妙に思う ヤツは恵風を見て”この子は女の子”と言ったんだろ? ヤツは俺の存在も知っていた事になる なのに…… 間違えるってどういう事だろうな……」 『……………』 「それほどアワ食ってたのか……  ワザとなのか……」 『……………………』 「……ナンだ神妙なカオして……」 「ナンか…… ユイヒじゃないみたいだね……」 「……今日は”俺の事を知る日”なんだろう?さっきオータが言ってたじゃないか プッ」 『・・・・・・・』  う~~ん チガウ……  三人は思った。 
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