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第5話

???side 恋は罪悪だと先生は言った。 「ねぇ、可哀想だよね。」 「どうした?」 持っていた本をそっと閉じて、冷め切った珈琲を飲み干す。 相変わらずアイツの淹れた珈琲は美味い。 覚める前に飲めば良かった。 「女の子、ここに入るんだって。」 あぁ、成程。 それは確かに・・・ 「可哀想、だな。」 一体あの人もどういうつもりで“女”をいれた? よりによって、ここに。 「今日は何読んでるの?」 「夏目漱石。」 本の表紙を見せると「あぁ、こころね。」と返ってくる。 「前も読んでたけど、好きなの?それ。」 「いや、全然。」 何度読んでも理解できない。 複雑怪奇な“こころ”なんてものは。 「まぁでも、不可侵が俺らの最重要事項だからね。」 「あぁ。」 不可侵も何も、興味なんてない癖に。 よく言うよ。 「今日の夕飯知ってる?」 「・・・さあ、なんだろうな?」 「イタリアンだって、歓迎会らしいよ。」 「そうか。」 アイツの作る料理だったらまず美味いだろう。 「来てよかったな、その女。」 「・・・ふっ、チョロいよ流石に。」 「うるさい。」 本を読む気も、もう失せた。 ソファに身を沈ませると、ひらり。ピンク色の花びら。 「窓、しめろ。」 「おー。」 まだ咲いてたのか、それとも咲き始めたのか。 花になんて興味はないからわからないが。 「梅雨になったら食中毒に気を付けないとな。」 「ふっ、ほんとお前・・・まだ五月だ。」 「あと一ヶ月だろ。」 時間なんてあっという間だ。 「寝るから後で起こしてくれ。」 「おー、夕飯前な。」
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